◆セシリア──泣き虫が見せた最後の勇気
『機動戦士ガンダムΖΖ』のセシリアは、アーガマのクルーのトーレスの幼なじみです。
彼女は非常に気が弱く、決断力がないように見えます。しかし、その内面には、彼女の弟、ピートを養うための強い決意と愛情がありました。
そして弟のために、ネオ・ジオンのゴットン・ゴーにアーガマの情報を提供することを選びます。しかし、その選択が彼女の運命を大きく変えることとなりました。
アーガマを見捨てて移民船に乗ろうとしたセシリアは、トーレスから「自分のことしか考えない泣き虫は嫌いだ」と吐き捨てられてショックを受けます。しかし好きな男から言われたこの言葉が、セシリアの心に勇気を芽生えさせたのです。
その後、移民船内でゴットンから特別報酬として受け取ったトランクに爆弾が入っていることに気づいたセシリアは、一人で抜け出してネオ・ジオンのモビルスーツに取り付きます。
ガンダムZZに乗っていたジュドーだけが、彼女の行動に気づいて助けようとします。しかし、セシリアは「トーレスに嫌われちゃう! 私だって、全部弱虫じゃ無いの」と勇気を振り絞って、ゴットンやエンドラ隊を爆発に巻き込んで命を落としました。
しかし、セシリアが死を迎えたことを知らないトーレスは「コロニーへいったら頑張れよ」と心の中でつぶやきます。決して彼女への愛情が消えたわけではなかったことが分かりますが、悲しい結末となりました。
◆マリーダ・クルス──悲劇のヒロインが最後に見せた微笑み
<画像引用元:Amazonより>
『機動戦士ガンダムUC』のマリーダ・クルスの死は感動を生みました。ネオ・ジオン残党「袖付き」の中で、ミネバの護衛を任務とするガランシェール隊として登場するマリーダ。彼女の正体は、過去のシリーズ『ガンダムZZ』で用いられたプルシリーズの1人、プルトゥエルブでした。
彼女はまるで感情がないように無表情です。しかし、それは彼女のこれまでの壮絶な過去がそうさせていたのでした。プルシリーズの唯一の生き残りだった彼女は、マスターのグレミー・トトを失ったすえ、悪質な人身売買業者に保護されて娼館に売り飛ばされます。
彼女の精神的な不安定さは、強化人間というだけでなく、彼女が過去に受けたトラウマと深く関わっていました。
マリーダは『機動戦士ガンダムUC』のストーリーに大きな影響を与えます。彼女は最終決戦にて、錯乱したリディが操るバンシィ・ノルンのビームマグナムによって撃ち抜かれ、命を落としてしまいます。
直後に彼女の魂はリディに語りかけ、彼を正気へと戻しただけでなく、その後のリディの決断に大きな影響を与えます。
また、彼女の魂はジンネマンの元へと行き、「ありがとう、お父さん」と笑顔で最後の言葉を伝えたシーンは感動的でした。
物語の中で、バナージとリディの心の架け橋となったマリーダは、まさに『機動戦士ガンダムUC』のキーパーソンだったといえるでしょう。
──戦争をテーマにした物語である以上“死”は避けられないもの。しかし彼女たちの死は、いずれも主人公たちの心や運命に大きな影響を与える意味のあるものでした。それだけに彼女たちの最後の姿は、よりファンたちの記憶の中で生き続けているのかもしれません。
〈文/瀬田アキラ 編集/諫山就〉
※サムネイル画像:Amazonより
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