『ひぐらしのなく頃に』(以下、ひぐらし)は、多くの謎を持ったアニメですよね。
『ひぐらし』1期、2期までに登場した謎は全て解決したものの、『ひぐらし業』では、これまで放送された『ひぐらし』を複合したようなストーリーになっており、また新たな謎が生まれてきています。
<画像引用元:https://higurashianime.com/story/001_004.html より引用掲載 ©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会>
『ひぐらし』を今まで見続けてきた視聴者にとっては「なるほど」となる謎でも、詳しい内容を忘れてしまった方や初見の方には、よくわからないことが多いのではないでしょうか。
もしかすると、違和感に気づいてない可能性も……。
そこで今回は、詳しい内容を忘れてしまった方、『ひぐらし』初見の方向けに、謎の多い鬼騙し編のシーンや会話を解説、考察をしていきます。
◆鬼騙し編で登場した意味深なシーンや会話の数々について
<画像引用元:https://higurashianime.com/story/001_004.html より引用掲載 ©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会>
前述の通り、『ひぐらし』には1度見ただけでは意味のわからないシーンや会話が多数存在します。特に初見の方にはわからないことが多いでしょう。
そこでここでは、鬼騙し編で登場した意味深なシーンや会話、そして『ひぐらし』固有のワードを解説、考察してきます。
▼圭一やレナがおかしくなっている原因 雛見沢症候群について
雛見沢症候群というのは、雛見沢特有の風土病です。この病気は極度のストレス、もしくは長時間雛見沢を離れると発症します。
発症すると、幻覚や妄想に取り付かれ、異常な行動や、被害妄想を起こしてしまうことに。最終的には、自身の不安を抑えるため、殺人を犯してしまう恐ろしい病気です。
『ひぐらし』で起こる悲劇は基本この雛見沢症候群が原因になります。
▼圭一がバットを振って魅音やレナを殺していたシーン
このシーンは、今回アニメで描かれた世界とは、別世界の記憶です。雛見沢は梨花ちゃんを中心に複数の世界があり、何度もループしています。これはその中の一つで圭一が起こした悲惨な事件をうっすら覚えていることの描写ですね。
▼梨花ちゃんが無言でカレンダーを眺めているシーン
梨花ちゃんはこの物語の真の主人公であり、雛見沢で何度もタイムリープしている人物でもあります。
タイムリープのキッカケは梨花ちゃんが死ぬこと。つまり、目覚めてカレンダーが過去に戻っていれば、自分がどこかで死んだということになります。梨花ちゃんはそれを確認していたわけですね。
▼第1話で部活をしている中、レナがボーっとしているシーン
普段のレナっぽくないシーンですよね。基本的に、キャラの表情や態度がおかしく見えるのは、雛見沢症候群の患者だけ。鬼騙し編で言えば圭一視点だけです。
しかし、このシーンではレナの様子を魅音が指摘しています。圭一が指摘するならば雛見沢症候群の幻想かもしれませんが、そうではありません。無表情で何かを考えているようなシーンですが、この時既にレナは雛見沢症候群を発症していたのかもしれませんね。
▼第2話冒頭で登場する羽入
梨花ちゃんにだけ見える、神様のような存在。梨花ちゃんの相談役であり100年のループを共にした存在です。様々な力を持っており、時を止めることも。しかし、100年のループを続けたこと、そして、一度そのループを抜けたことで力を殆ど失っています。
▼梨花ちゃんが綿流しの祭りで富竹を呼び止めたシーン
このシーンで梨花ちゃんは富竹の頭を撫でて送り出します。梨花ちゃんは過去のタイムリープから富竹がこの後死んでしまうこと知っているため、別れの挨拶であり、救うことのできないことを謝罪している意味があるのではないでしょうか。
▼オヤシロさまの祟りとは?
雛見沢症候群を発症した患者が自分の状態のことをオヤシロさまの祟りを受けていると言います。また、雛見沢で起こった未解決事件のことをオヤシロさまの祟りとも言います。
▼病院に運ばれた圭一に看護師が「首が痒くなったことありませんか?」と尋ねた意味
首が痒くなるのは雛見沢症候群の初期症状であり、看護師は圭一が雛見沢症候群にかかっているのではないかと疑ったから尋ねたセリフになります。
◆梨花の助言が大活躍 圭一が戦い打ち勝った悲劇について
<画像引用元:https://higurashianime.com/story/001_003.html より引用掲載 ©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会>
『ひぐらし業』では、梨花ちゃんの助言が破滅へのフラグ回避に大きく貢献しています。
鬼騙し編(第1話~4話)の序盤では、何やらレナや魅音の様子がおかしく描写されていましたよね。唐突に激しい口調になったり、怖い表情をしたり、圭一や視聴者を不安にさせていたと思います。
しかし、これは『ひぐらし』独特の演出で、実際におかしくなっていたのは、感じる側の圭一。視聴者は圭一が過剰に感じていたことをみせられていたわけです。ではなぜ、ここまで圭一が過剰に感じていたのでしょうか?
それは雛見沢症候群を発症していたから。物語が始まる前、圭一は親族の葬式に出席するため、雛見沢を離れていました。それが原因で雛見沢症候群を発症していたわけです。
<画像引用元:https://higurashianime.com/story/001_002.html より引用掲載 ©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会>
それを感じ取った梨花ちゃんは、圭一に「何か心配なことや不安なことはないか?」と尋ね、圭一に今思っていることを話して欲しいといいます。レナや魅音の態度に不安を感じていた圭一はそれを打ち明け、梨花ちゃんから「恐ろしいと感じるのは気のせいであり、疑うべきは仲間ではなくそう感じてしまう自分自身である」助言を貰っていました。
これは、別世界の鬼隠し編にはなかったセリフであり、圭一が自分の心を振り返る要因になります。ここで梨花ちゃんから助言を貰わなければ、圭一はドンドン雛見沢症候群が悪化し止めることができないほどになっていたでしょう。
鬼騙し編の終盤でも、圭一はレナの訪問時、梨花ちゃんの助言を思い出し自分を落ち着けていましたよね。梨花ちゃんの助言を受けていない別世界の鬼隠し編では、レナが訪ねた時、恐怖のあまり扉を開けることができず、レナを追い返してしまいます。それをせず、レナを家に入れることができたのは、雛見沢症候群に打ち勝った証しとも言えるのではないでしょうか。
まぁ、家に入れたことが原因でレナに殺されてしまったわけですが……。もしかすると、この『ひぐらし業』では、今までの『ひぐらし』とは異なり、一度は雛見沢症候群に打ち勝つものの、それでも避けきれない死を描いていくのかもしれません。
◆なぜレナは圭一を殺したの? レナが雛見沢症候群を発症した理由とは?
<画像引用元:https://higurashianime.com/story/001_001.html より引用掲載 ©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会>
雛見沢症候群を押さえ込み悲劇を回避したかに思えた圭一でしたが、残念ながら最後はレナに殺されてしまいましたよね。これには昔から『ひぐらし』を観ていた視聴者も驚いていました。
本当なら、圭一が雛見沢症候群を押さえ込んだことで、悲劇は回避されたハズ。なぜレナが雛見沢症候群を引き起こしてしまったのでしょうか……。
まず、レナが雛見沢症候群を引き起こしていた原因ですが、別世界の罪滅し編を参考に考えると、家庭内不和が原因になります。
レナの両親は離婚しており、現在は父親と2人暮らし。しかし、父親には新しい恋人ができており、家の中も恋人の持ち物が増えて、レナは自分の居場所がなくなるようなストレスを感じていました。
しかし、父親はそれに気づかず恋人と再婚する話をレナにしてしまいます。罪滅し編では、それに加え、恋人のある秘密を知ってしまったことによりレナは雛見沢症候群を発症。恋人を殺害してしまいます。しかし、これは罪滅し編での出来事。鬼騙し編では少し事情が異なっているように感じますね。
鬼騙し編終盤で、圭一の家を訪ねたレナが「お父さんを守ろう」「圭一君を殺して自分も死のう」と言っている場面があります。
ここから推測するに、鬼騙し編でレナの父親はレナが再婚に乗り気ではないことに気づいたのではないでしょうか。そして、恋人への想いとレナへの想いで悩んでしまったのでしょう。またエンディングの様子から酒浸りになっていたのかもしれません。
日頃のストレスから雛見沢症候群を発症したレナは、自分がいることで、父親が深く悩んでいる、父親を苦しめてしまっていると幻想に取り付かれたのではないでしょうか。
それが「お父さんを守ろう」「自分も死のう」に繋がった可能性があります。
「圭一君を殺して」の部分は、ちょっと動機がハッキリとしませんが、『ひぐらし』で動機や理由がハッキリしないことなど日常茶飯事。全ての事件は衝動的な感情が原因です。「1人で死ぬのは寂しいから大好きな圭一君を連れて死のう」それが、自分にとっても父親にとっても幸せだという幻想に取り付かれたのかもしれませんね。
――ここまで軽く解説、考察してきましたが、この鬼騙し編での一番の謎は梨花ちゃんと沙都子が殺されていたことです。
梨花ちゃんは一度死の運命を乗り切っているので、誰が梨花ちゃんを殺そうとしているのか知っているハズ。にも関わらずどうして殺されてしまったのでしょうか。
もしかすると、これまでの『ひぐらし』とは違う予想外の犯人が梨花ちゃんを殺したのかもしれませんね。
どちらにしろ、後半になれば解答編が放送されるでしょう。全ての謎が解き明かされるのが楽しみですね。
(Edit&Text/天乃ひる)
©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会