「来たる12月24日‼︎日没と同時に!!我々は百鬼夜行を行う!!」

 作中に登場する夏油のセリフに合わせたかのように2021年12月24日(金)、2021年最後のビッグタイトルとも言える映画『劇場版呪術廻戦0』の公開がスタートしました

 『劇場版呪術廻戦0』は、2020年秋から2クールにかけて放送されたTVアニメ『呪術廻戦』で描かれた物語では呪術高専の2年生として描かれた面々が1年生の頃の話を描いており、本編中では名前しかでてきていなかった、特急呪術師の乙骨憂太を主人公とした物語となっています。

 すでにアニメシリーズも高い人気を誇っていただけに、初の劇場版となる今回の映画も、高い成績が期待されていましたが、やはり集客の勢いは桁外れ。それこそ同じく少年ジャンプの連載漫画を原作に持っている『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を思わせる勢いです。果たして、『劇場版呪術廻戦0』はどれほどの成績を残せるのでしょうか。

◆最速上映はたちまち完売!急遽スクリーンの追加も?

<12月23日(木)の大阪TOHOシネマズ梅田、24時最速上映前の管内の様子(撮影/著者)>

 驚きの事態は公開に先駆けて12月17日(金)の0時には始まっていました。この日は、東京・大阪・京都・愛知・福岡・宮城・北海道といった都市圏で行われる『劇場版呪術廻戦0』の最速上映のチケット販売が行われました。最速上映では、本来映画館の営業時間とはしていない映画館でも、12月24日(金)午前0時の日付が変わった瞬間に、『劇場版呪術廻戦0』を上映するという催しです。座席予約の開始まもなく、開催映画館のWebサイトにアクセスは集中。各所映画館の大スクリーンをあてがいながらも、たちまち完売映画館が続出する事態となりました。反響を踏まえて複数の映画館が上映シアターを追加するなど対策していたにも関わらず、早くも『呪術廻戦』の勢いを思い知る体験となりました。

 それに続いて12月21日(火)には、公開初週末分のチケット販売も、本来より予定を早めて販売を実施。最速上映回の販売と同じく映画館のサイトにはアクセスが集中し、しばらくWebサイトにもなかなか入れないような状態が続きました。

◆『鬼滅』や『エヴァ』との違いとは?

 上映前に映画館の予約にアクセスが集中する現象は、実は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でも起きていた出来事。『劇場版呪術廻戦0』は早くもヒット作の流れを汲むことに成功しています。

 一方で、それらの作品と違うのは、新型コロナウイルス感染症の影響の度合いです。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開時は、今よりも新型コロナウイルス拡大防止の意識は強く、映画館も営業の制限が強いられており、映画館は全席販売を解禁するか、はたまた座席販売を半減させ飲食販売を解禁するのか、といった選択を迫られる状態となっていました。

 『劇場版呪術廻戦0』の興行のタイミングではそれらの制限も緩和され、映画館は全席を解放しながら、飲食物の販売も実施する状態でスタートを切ることができました。さらには『鬼滅』『エヴァ』も“0時の最速上映”は実は実施できませんでした。それを『劇場版呪術廻戦0』は実施することができたことは状況に大きな違いがあります。

 その結果、『鬼滅』『エヴァ』では出遅れると初日や初週末の座席の確保には苦労する人も続出したわけですが、意外と『劇場版呪術廻戦0』ではいずれの上映回も上映直前まである程度の座席の余裕はあり、座席の確保自体のハードルは下がっていました。全席完売も、最速上映は例外として、初日の上映回でも上映の直前までまだ猶予があったりと、椅子取りゲームとしての難易度はかなり下がっていたのは印象的です。

◆スタートダッシュは上々!しかし勝負はまだこれから?

 そんな『劇場版呪術廻戦0』は早くも興行収入100億円突破は確実であることをTOHOシネマズ新宿で行われた初日舞台挨拶で、配給の東宝が明らかにしています。初日の午後3時時点で観客動員数100万人を見据えていることも明らかにし、桁外れの勢いを見せていることが明らかになりました。

 こうなってくると『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を超えてくるのか!? という期待も増してくるわけですが、そうは言っても『鬼滅』の壁は高く、前述のような座席の希少性の差からしても、勢いとしては『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』には及ばない程度という見方が強い状況です。ましてや『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入400億円突破は、ロングラン上映の賜物。『劇場版呪術廻戦0』としては今後どれだけ長く高い成績を上げ続けられるのかにかかってくるでしょう。

 東宝としては最終的な興行成績は予測不能と述べているように、このレベルのヒット作は初週末時点で最終的な数字を見据えるのは、至極困難。あの『鬼滅』でさえ上映当初は『千と千尋の神隠し』の興行収入300億をまさか越えるとは思わない人がほとんどでした。勢いからして『劇場版呪術廻戦0』の成績は興収100億円が視野には全然入ってくるラインなのですが、ここから圧倒的な初動型の作品に落ち着くという可能性もまだまだあるので、継続してリピーター向けの施策などを盛り込んでいく必要がありそうです。年明けからは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『コンフィデンスマンJP英雄編』などのヒットシリーズの続編も上映をスタートするということで、油断はできません。果たしてこの呪術の勢いはどこまで伸びるのか。この百鬼夜行、思っている以上のウルトラマラソンとなりそうです。

〈文・撮影/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

© 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 ©芥見下々/集英社

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