「全集中の呼吸」という真似したくなること請け合いな設定で、鬼との戦いを魅せる大正ロマンアニメ『鬼滅の刃』。
バトルもさることながら、努力を続ける主人公・竈門炭治郎の成長っぷりが気持ち良い作品でもあります。
そこで今回は、努力型主人公・炭治郎の魅力を3つに凝縮してお届けします。
努力型主人公!
少年漫画の主人公は、1話目から特別な力を手に入れるのが定石です。
「週刊少年ジャンプ」を例に挙げると、『ワンピース』のルフィは「ゴムゴムの銃」で強さを魅せ、『BLEACH』の黒崎一護は死神の力を手に入れました。落ちこぼれ忍者だったナルトでさえ、1話のラストで「多重影分身の術」を身に付けています。
昨今のライトノベルにおける「チート能力」「俺TUEEEE」などの言葉に象徴されるように、物語の最序盤から強い力を備えている主人公はトレンドと言ってもいいでしょう。
しかし、竈門炭治郎は違います。
初回は少し鼻がいい程度の普通の少年で、大切な妹を手にかけようとする剣士に対し、土下座で許しを請う姿すら魅せました。
無力だった主人公が努力で道を切り開いていく点は『僕のヒーローアカデミア』にも似ています。
あまり苦労せず、スマートに勝利を収める主人公像が流行する一方、泥臭い努力を続けるたくましい精神力が、視聴者の胸を打つのです。
成長を続ける姿が熱い!
第6話「鬼を連れた剣士」では、女性が忽然と消えた事件のあらましを聞いて「信じます」と即断。
暗くなり、「まだ続けるのか?」と不安げに問われた際も、「はい」と即答します。「あいつらは夜活動します。だから休むわけにはいかない」と。
これらの言動は、師匠・鱗滝さんから受けた最初の叱責「判断が遅い!」へのアンサーだと考えられます。
「全集中の呼吸」を駆使した派手なバトルシーンが注目を浴びがちですが、日頃の立ち居振る舞いを観察しても、初期の炭治郎からは想像できないほどの成長を発見できるのです。
第8話で山かけうどんを台無しにしてしまい、店主を怒らせた際にも「すみません! もう一杯お願いします!」「食うのか!」「はい!」と即断即決の構え。食事を摂れない妹・禰豆子の分までうどんをすする姿は正に漢。
このエピソードでは、あの言葉も思い起こさせます。
「お前のような食べ盛りは食った分だけ力が付くし、体も大きくなる」
旅立つ弟子へ鱗滝さんが贈った、親心溢れる言葉のひとつです。師匠の教えを愚直に守りながら成長を続ける姿が熱い!
また、炭治郎の成長の様子が声優さんの演技で味わえるのも、アニメならではの魅力。うどんを食べた後の明るい一言「美味しかったです!」などは、序盤の炭治郎からは見えなかった爽やかな自信を感じさせます。
妹想い!
なんといっても、これでしょう。
炭治郎が血のにじむ努力を続ける最大の理由は「鬼となった妹・禰豆子を人間に戻すため」。この強力な目的が、物語を動かし続ける原動力になっています。鬼となった禰豆子もただ守られるだけでなく、兄と二人三脚でのバトルを魅せてくれるもの嬉しいところ。
「妹想い」は、どんなキャラでもたちどころに好感度を上げる魔法の設定であり、その使い勝手の良さから創作に多用される傾向にあります。
しかし、ここまで分かりやすく・かつ効果的に設定された「妹想い」は、なかなか見受けられません。
「努力」「勝利」が出そろった『鬼滅の刃』ですから、次は「友情」にも期待が膨らみます。OPに登場している仲間たちと合流した時、どんなドラマが待っているのか……。
炭治郎と禰豆子の旅路を、鱗滝さんのような親心で見守っていきましょう。
(Edit&Text/ヒダマル)
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