アニメの戦闘は名場面が多いですよね! キャラクターが大切にしている想いや信念が強く主張され、さらにその想いや信念の強さが戦いでの力量、強さへと繋がっていく。強敵と互角の戦いを繰り広げ、最後に勝利を手にする姿は、想いや信念を貫き通したかっこよさに溢れています。
『鬼滅の刃』第17話での、我妻善逸(あがつまぜんいつ)が人面鬼蜘蛛と戦う場面もその一つと言えるかと思います。鬼蜘蛛の毒を食らい絶体絶命のなかでも、善逸はじいちゃん(師範)との修行の日々を想い、じいちゃんが教えてくれた事を胸に強く抱きながら、強敵である鬼蜘蛛に立ち向かいます。そして鬼蜘蛛の首を見事に討ち取った時は、最高にかっこよかった。
気弱でヘタレキャラの善逸が、強敵である鬼蜘蛛を倒せたのは、じいちゃんと修行で過ごした時間や教えてくれた事を無駄にしたくない、という想い、そして、じいちゃんのおかげで強くなれた事を証明する、という信念によるものだと強く感じさせられました。
鬼蜘蛛と戦う事であらわになった、善逸の強さの理由である、じいちゃんへの想いと信念を、改めて振り返りたいと思います。
一つのことを極め抜け
善逸は鬼殺隊の剣士でありながら、「雷の呼吸 一ノ型 霹靂一閃」しか使えません。六つある型の内、一番初めに教えてもらう、または覚える型しか習得できなかった。善逸は本来であれば、鬼殺隊の剣士として不適格なはずです。元雷の柱であったじいちゃんにもそれは解っていたはず。でもじいちゃんは善逸を褒め、「一つのことしかできないならそれを極め抜け、極限の極限まで磨け」と鼓舞するのです。一つのことを極め、立派な鬼殺隊の剣士となれと言ってくれているようなもの。善逸はきっと嬉しかったと思います。じいちゃんのこの優しい教えがあったからこそ、「雷の呼吸 一ノ型 霹靂一閃」を自分なりに磨き、そして鬼殺隊選抜試験を始め、鬼蜘蛛との戦いでも勝利を掴んできた、善逸の大切にしている想いだと思われます。
泣いていい、逃げてもいい、ただ、諦めるな
修行中、何度も泣いて、逃げようとした善逸をとっ捕まえては、根気強く雷の呼吸の剣術教えてくれたじいちゃんが、かけてくれた言葉。本来、鬼殺隊の剣士を目指すものは、修行中、すぐに泣いたり、逃げるのはご法度と思われます。剣士として相応しくないでしょう。でも善逸の師範ことじいちゃんは、修行で泣いていい、逃げてもいい、と善逸を許し認めるのです。そして、「諦めるな」と勇気づける。この言葉は善逸にとって、鬼と戦う際の大切な信念として染みついていると思われます。
鬼と直面したら怖くて、泣き叫び、すぐ逃げてしまうけど、鬼からどうしても逃れられない命の危機に瀕した時、善逸は、諦めず、戦います。恐怖が臨界点に達っすると、気絶するように眠りますが、そこから超人的な強さで鬼に立ち向かい、「雷の呼吸 一ノ型 霹靂一閃」で勝利する。その姿に「泣いていい、逃げてもいい、ただ、諦めるな」というじいちゃんの言葉を基本とした、鬼と戦う際の信念があるかと思われます。
じいちゃんの期待に応える
善逸は修行中に何度も逃げ出した際、じいちゃんに何度も何度もとっ捕まえられて、何度も何度も根気強く叱られ、雷の呼吸の剣術を教えられてきた日々を過ごしてきました。この事は、じいちゃんが善逸に、立派な鬼殺隊の剣士になってほしいと期待している、と言っていい。善逸も修行の日々を振り返った時、じいちゃんは俺を見限る事はなかった、と感じています。そんなじいちゃんの期待に、善逸は鬼蜘蛛との戦いで繰り出した「雷の呼吸 一ノ型 霹靂一閃・六連」でちゃんと応えます。じいちゃんが自分にかけてくれた期待に応える、じいちゃんが色んな事を教えてくれたから強くなった、それを鬼との戦いで証明したい、そんな善逸の想いが見て取れると思われます。
――これからも我妻善逸は、修行で色んな事を教えてくれたじいちゃんへの想いや信念を胸に、強敵と立ち向かっていくでしょう。いつかは、元柱だったじいちゃんみたく、立派で強い鬼殺隊の剣士になってほしい。今後の善逸の鬼との戦いに、一層期待の眼差しを向けて見守っていきたいなと思います。
(Edit&Text/おみくじ)
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