アニメの劇伴に携わる作曲家は数多く存在しています。

 中にはアニメを専門に作曲を行うだけではなく、ドラマや映画を中心に担当する方が参加されるケースもありますよね。

 今季アニメだと『やがて君になる』大島ミチルさんなどが有名でしょうか(ドラマでは『ショムニシリーズ』『ごくせんシリーズ』『京都地検の女シリーズ』などを担当)。

 今回は、名作と呼ばれるアニメの劇伴をいくつも担当された窪田ミナさんをフォーカス。彼女がどんなアニメに携わっていたのかご紹介していきます。

窪田ミナさんとは?

 まずは窪田さんの簡単な経歴から。

 1972年に福岡県で生まれ、4歳から作曲、5歳からピアノを学ぶようになります。

 10歳の頃から海外で作曲や演奏の舞台に立ち、高校卒業後には英国王立音楽院(王立音楽アカデミー)という世界有数の音楽学校に入学。94年に同校の大学院を卒業してから2001年まで主にイギリスで活動、葉加瀬太郎氏などの有名なアーティストとの演奏に参加されました。

 2002年には日本に帰国。下記のアニメ作品の他『マイリトルシェフ』『天国へのカレンダー』『ゲゲゲの女房』といったドラマやCMの劇伴のほか、様々な音楽作品のプロデュースにも関わっています。

 『ゲゲゲの女房』は特に社会現象にもなるほどの人気ドラマにもなりましたよね!

ゲゲゲの女房 窪田ミナ
画像引用元:ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX1 販売元:TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

 現在は、後述する『カレイドスター』『ARIAシリーズ』でも出演した声優の大原さやかさん、西村ちなみさん、ギター演奏家の小笠原肇さんによるユニット「音due.(おんでゅ)」によるライブなどの活動もなされています。

 窪田さんの音楽はピアノやストリングスを中心としたニューエイジ(ジブリ作品の久石譲さんなどが有名なジャンル)が多く、心地よい音楽についうっとりしてしまう楽曲が特に好評です。

 さて、ここからは窪田さんが関わったアニメ作品をピックアップいたします。

『カレイドスター』

 『カレイドスター』は、2003年にテレビ東京で放映されたアメリカのサーカス(シルク・ドゥ・ソレイユと日本人パフォーマーのDio Kobayashi氏を参考とした)ゴンゾ制作のオリジナルアニメ。

カレイドスター 窪田ミナ
画像引用元:カレイドスター 究極の すごい サントラ 販売元:SOUNDTRACK PUB

 主人公苗木野そらが幼い頃に見たカレイドステージに憧れ単身渡米するものの、とある理由からオーナーであるカロスに特別扱いされるような存在になったことで当初は厳しい目で見られてしまう辛い経験を味わい、それでも持ち前の努力と根性で乗り越えて「カレイドスター」となっていく、青春スポ根アニメです。

 当初放映されていた時間が夕方17時半台だったこともあるのか(第二期は朝9時半)、残念ながら知名度のある作品とまでは言われていないです。

 ですが、根性ものであることと、その集大成であるステージの演出などから未だに根強い人気を誇っているアニメの一つでもあります。

 アニメ終盤の「幻の大技」と第二期ラストの「天使の技」の美しいそら達の姿は今でも感動ものです……。あと個人的に第一期後半のオープニング「約束の場所へ」は神曲だと思ってます。

『神無月の巫女』

 2004年にUHF系(チバテレビ、TVKなど)で放映された、『鋼鉄天使くるみ』『円盤皇女ワるきゅーレ』の原作者である介錯氏による、百合と伝記・ロボットアクションが合わさったアニメが『神無月の巫女』です。

神無月の巫女 窪田ミナ
画像引用元:神無月の巫女 〈期間限定生産〉 [DVD] 販売元:ジェネオン・ユニバーサル

 当時はまだ『マリア様がみてる』など百合を題材とした作品が少ない中、主人公の来栖川 姫子と姫宮千歌音、姫子を愛する大神ソウマとの関係がじっくりと描かれ、また(アニメでは空気気味でしたが)オロチ衆との巨大ロボットを交えたバトルが当時話題となりました。

 といっても、終始姫子を好きであり、二人の敵であるオロチになりながらも反旗を翻し、愛する者のために戦ったソウマの思いは……と思うとちょっと悲しい要素もあるのですが。

 特に千歌音による(複雑な事情があるとはいえ)姫子の純潔を奪い、さらには地球を滅ぼすほどの行為は、後年の『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美ほむらを彷彿とさせる強烈なインパクトを残しました。

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『マクロスΔ』

 2016年に放映された、ご存知『マクロスシリーズ』の第7作品目にあたるアニメ。本作は鈴木さえ子さん、TOMISIROさんと3人で劇伴を担当されています。

マクロスΔ 窪田ミナ
画像引用元:「マクロスΔ」オリジナルサウンドトラック2 販売元:FlyingDog

 前作『マクロスF』の8年後の世界になっているものの、今回は都市間ではなく惑星ラグナを舞台としていること、前作のランカ、シェリルの歌姫2人体制と違い5人ユニット「ワルキューレ」が活躍するなど、所々に新しい取り組みがされているのも特徴となっています。

 ワルキューレの歌には奇病「ヴァールシンドローム」に感染した人間を鎮圧、ならびに予防を促す効果があるとされ、『マクロス7』熱気バサラとはちょっと違いながらも不思議な能力があるのは今作も共通と言えるのでしょうか。

 主人公、ハヤテ・インメルマンの所属するΔ小隊や空中騎士団らによる可変戦闘機によるアクションも健在です。

 ワルキューレの活動も前作同様、アニメ内だけにとどまらずアーティストユニット(5人のうち小清水亜美さんのみ楽曲には参加していないため声優ユニットではない?)としてライブも行われるなど、音楽面での展開も積極的ですね。

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劇伴ではないけれど……『ARIAシリーズ』

 最後は2005年から2008年まで3つのシリーズとして放映された、天野こずえ氏によるアニメ『ARIAシリーズ』

ARIA 窪田ミナ
画像引用元:ARIA The ANIMATION オリジナルサウンドトラック 販売元:flying DOG

 地球(マンホーム)からテラフォーミングされた火星(アクア)のネオ・ヴェネツィアに移住した主人公・水無灯里が、同じ境遇の藍華アリスらと一人前(プリマと呼ばれる)のウンディーネというゴンドラによる観光案内人を目指し、ネオ・ヴェネツィアでの季節折々の情景とともに過ごす日々を描いた、作者いわく「未来系ヒーリングコミック」。

 この作品の劇伴は Choro Club feat. Senoo という、妹尾武さんというピアニストとChoro Club というユニットが担当しております。こちらも癒し系の曲揃いで大変おすすめです。

 では窪田さんは何を担当されたのか? 彼女は本アニメのオープニング「ウンディーネ」「ユーフォリア」「スピラーレ」と、劇中歌の「バルカローレ」「コッコロ」「ルーミス エテルネ」の作曲(「ルーミス エテルネ」は作詞も)を担当。

 透き通った声の持ち主の牧野由依さんが歌うこれらの曲(劇中歌は別の方が歌ってますが)も、劇伴と同じようにゆったりとした曲調でつい目を閉じて聞きたくなる名曲となっています。

 

――窪田さんが携わったアニメは上記のほかは『フォトカノ』など数は少ないものの、どれも印象の強い作風で人気の作品ばかりとなっています。音楽好きにはぜひ見てもらいたい、そして聞いてもらいたいです!

(Edit&Text/頭皮ぱっしょん)

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