◆日本でも自由化は進むのか?日本での大きな壁
こうして早速ミッキーマウスを使った創作物が続々と登場しているのを見ると、いざ自分たちも何か作ってみたいという人も出てくるでしょう。しかし、実は日本では著作権の事情が異なることは知っておきたいポイントです。
『蒸気船ウィリー』のパブリックドメイン化はアメリカを管轄としたものであり、日本を対象としたものではありません。
日本では日本の法に準拠して著作権は扱われることになるので、今回のアメリカでのパブリックドメイン化の動きはほぼ関係がありません。
さらに日本での『蒸気船ウィリー』の著作権の保護期間について諸説あり、もう切れているという見方もあれば、まだ切れていないという判断もできるというように複雑な状態にあります。現状、訴えられ方によっては著作権の侵害になり得るので、日本で『蒸気船ウィリー』の著作権が切れていると判断して扱うのは未だ“危ない橋”という状況にあります。
はっきりと国や判例から著作権が切れているという判断が下るまでは、時が経過していき明らかに著作権が切れているという時代を迎えるか、海外でのパブリックドメイン化による扱いが定着するまでは、まだまだアメリカと同じような扱いで『蒸気船ウィリー』を扱うことは推奨できないでしょう。
パブリックドメイン化した直後ということもあり、今後もしばらくは海外でのパブリックドメイン化による動きが活発に目に付くことになります。しかし、日本で暮らす我々が扱う場合は、著作権への理解や万が一の訴訟に転じる可能性に対する対策が必須であることは忘れないようにしましょう。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『ディズニー・スタジオ公式』より