『アナベル死霊人形の誕生』、『ジグソウ:ソウ・レガシー』、『ITイット“それ”が見えたら終わり』と、2017年も数々のホラー映画が誕生しました。
そして2017年の最後を飾るであろう、ゾクゾクした感覚を我々に与えてくれるであろう映画が12月2日に公開されました。
その作品とは・・・、
『ムーミン谷のウィンターランド』のことです!
「全然ホラー映画じゃないだろ!」
って、ツッコミが入ってもしょうがないんですが、いやいや侮るなかれ。キャラクターとしてのムーミンの存在を知っていながら、本編はあまり見たことないという人こそ、ムーミンはぜひ体験して欲しい作品だったりします。
今回はそんな、本当は“怖い”劇場版ムーミンの世界を紹介します。
ムーミンの“怖さ”
最初に言っておきます。
確かにムーミンは、この記事の冒頭であげたような、ホラー映画的怖さがある作品ではないです。
ですがもうちょっと話を聞いて欲しい……。
原作には、不穏で不気味なテイストももちろんあったりするのですが、劇場版などアニメ化される際は、子供も楽しめるような愉快な部分が抽出されています。ですが、その
『愉快』の方向が特殊。
ムーミン谷の住人たちは、人間たちとはまた違った道徳観や概念をもって生活しているので、やること成すことが“奇行”なのです!
やること成すことの思考回路が意味不明! その奇行の数々は、子供こそ楽しめるのかもしれませんが、凝り固まった大人の頭にはまったく理解不能で恐怖を感じます。
しかも恐ろしいことに、この映画にはツッコミ役がいません。ひたすら、ムーミンたちの奇行が連続していく様は最早トリップ状態に陥ったかのような感覚さえ感じ得ます。
ムーミンの映画はそんなドラッグムービーだったのです。
ウィンターワンダーランドの予習にこの一本
そんなドラッグ感の例として、『ムーミン谷のウィンターランド』の予習にもオススメなのが『ムーミン谷の夏祭り』です。この作品は『ムーミン谷のウィンターランド』同様、温かい感触が感じられるパペットアニメーションとなっています。
ですが、その見た目に反して中身はなかなかハード。
この映画ではムーミン谷が大洪水に襲われて、ムーミンたち家族も家が水没してしまうという大事件に見舞われてしまいます。普通なら平気じゃいられないと思うのですが、なぜかムーミンたちは結構“ヘラヘラ”しているのです。
そして、そのポジティブさを武器にムーミン一行は新たな住居を探しに行くのですが、なんと途中でムーミンがグループからはぐれてしまいます。
こんな災害中に家族がはぐれてしまうのは、結構な大ごとだと思うのですが、ムーミンパパやママたちも最終的に「大丈夫だろう」と結局ヘラヘラしているのです。
すごいメンタルです!
我々の常識を逸したムーミン谷の面々の思考回路には、脅威を感じます。
スナフキンもやばい!
ムーミンの登場キャラクターで、常識人ポジションの印象も強いスナフキンですが、実は彼の性格もシリーズによってまちまちです。
前述の『ムーミン谷の夏祭り』にもスナフキンは登場するのですが、今作は結構な思い切りのよいロックな思考回路を持ったキャラクターとして登場します。
なんでも禁止したがる公園番を自由人のスナフキンは非常に嫌悪しており、無断で公園に立ち並ぶ警告看板を引き抜くという犯罪行為に手を染めます。
しかもその結果、その犯行の濡れ衣をムーミンが被ってしまうという悲劇が発生します。
間接的とはいえ酷いです……。
いくらなんでもやんちゃすぎるスナフキンの姿もぜひチェックして欲しい部分です。
――そんなわけで、無茶苦茶なことを引きおこすムーミンたちの活躍は必見。
見た目だけではなく、どんな生活をしてどんな性格のキャラクターが居るのか、良い機会なので映画でそのディテールを体験してみてはいかがでしょうか。
ネジが外れたようなハチャメチャな思考を見せるムーミンたちの日々ですが、その片鱗に人間が気づかなかった価値観なんかも見えてくるのではないかと思います。
いえ・・・わからないですね。
もしかしたら、脳がオーバーヒートしてしまう可能性もあるかもしれないです。
あなたが、ムーミンたちの奇行に耐えられるのか、ある意味での度胸試しにもオススメです。
(ちなみに同系統で『くまのプーさん』というドラッグムービーもオススメです)
(Edit&Text/ネジムラ89)
映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』公式サイト
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