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 2010年から2014年にかけて全33話が放送されたアニメ『PSYCHO – PASS サイコパス』。近未来SF。警察もの。群集劇という3つのコンセプトによって構成された本作は、2015年には全国にて劇場版が放映され、その盛り上がりは素晴らしいものであった。

 『PSYCHO – PASS サイコパス』の舞台は人間の心理状態を測定し、数値化することができるようになった日本。自らの心理状態を表した数値(犯罪係数)を常にクリアにすることが共通の考えとなった日本には、そのシステムをつかさどるシビュラシステム(シビュラ)というモノが存在している。本作のテーマは、そのシステムの元で働く公安局刑事課一課と、犯罪者たちの攻防。

 『PSYCHO – PASS サイコパス』には多くの魅力があるが、最大の見どころは敵キャラクターではないか? 本作は様々なバックグラウンドを持った犯罪者たちを主人公・狡噛慎也をはじめとする、公安局刑事課一課の面子が追っていくという展開だが、その中で描かれる犯罪者たちの動機や心境は物語の面白さの大きな要因となっている。

 本記事では犯罪者たちの中でも高い人気を誇る、槙島聖護のセリフを参考に本作の世界観を考察していく。

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シビュラシステムが導入されて以来、最大の犯罪者「槙島聖護」

  狡噛慎也の宿敵であり、数々の事件の裏で暗躍し続けたのが槙島聖護だ。彼を逮捕することが1期における公安局の主な目的である。

PSYCHO-PASS-槙島聖護

画像引用元:PSYCHO-PASS ブランケット 槙島聖護販売元:トーン・クラフト

 槙島聖護は犯罪係数が常にクリアであり、犯罪者認定されないという特異体質を持つ。彼自身もそのことに疑問を抱いている節があると同時に、シビュラに支配されている現状に疑問を持っている人物でもある。

槙島聖護の印象深いセリフ

 ここでは槙島聖護が劇中で発した印象深いセリフについて考察していく。

◆「僕はね、人は自らの意思に基づいて行動したときのみ、価値を持つと思っている。だから様々な人間に秘めたる意思を問いただし、その行いを観察してきた」

 公安局は様々な事件を解決していくが、その糸を引いている槙島にたどり着くことがなかなか出来ずにいた。今作のヒロインであり、2期以降は主人公となる常守朱がようやく槙島と対面することができた際の会話に出てくるのがこのセリフである。

 このシーンは朱の親友である船原ゆきが人質に捕らわれているという状況であった。朱は槙島に対して、今までの犯罪に関する嫌疑がかかっていることを刑事らしく告げ、同時に人質の解放を要求する。このことに関して、槙島はなぜ多くの犯罪者を用いて事件の糸をひいてきたのかを自らの口で語るのであった。表面的には愉快犯がただ犯罪を愉しんでいるようにも思える言葉だが、このセリフの本質は本作の世界観と非常にマッチしている。

 この世界における人間は物事の善し悪しを自らで判断するのではない。シビュラによって決めているのが現状なのだ。それはシビュラによって犯罪係数が高いとされた人物が犯罪者認定されるからである。

 先述のセリフはその在り方に疑問を投げたセリフであり、多くの人間がシビュラから認められるために、善い行いとされる行動を取る一方で、槙島は犯罪者たちを用いて事件を起こしていった。社会に恐怖を与える犯罪者。それを追う公安局。シビュラによって判断された善良な市民たちが、事件を通じてどう考え行動するのかを観察していたのが槙島なのである。

 これは『PSYCHO – PASS サイコパス』という物語の核になっている、シビュラシステムというものに疑問を投げかけた重要なセリフであろう。また同時に自身が何をしても悪い行いとされない特異体質である槙島だからこそ言えるセリフでもある。

 このシーンでは明らかに悪い行いでありながらも犯罪者認定されない槙島に対し、混乱を覚える朱の姿が描かれていた。朱は公安局でシビュラの手足のごとく働く刑事である。彼女は親友を助けたいという秘めたる意思はあったが行動に起こすことはできなかったため、悲しくも親友を目の前で殺されてしまう。

 このあと何食わぬ顔で街中を歩く槙島は以下のようなセリフをあげている。

◆「君たちには僕が無害に見えるだろう。虫一匹殺せないシビュラシステムの善良な構成員の一人に」

 このセリフは、槙島が自身の行いが悪いと思いながらも、意思を持ってこのような行いをしていることが分かるモノだ。一方で、盲目的にシビュラに決められた数値しか見えていない公安局や市民を皮肉った一言でもある。もしかしたら視聴者に対して挑戦的に投げかけたセリフかも知れない。

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