――「男は誰しも心に厨二病を患っている」
この言葉の真偽はともかく、異世界やSFといった「もしファンタジー色の強い世界に身を置いてみたら……」という妄想をしてみた男子は少なくないのではなかろうか。
かく言う私もその一人で、大ヒットアクション作品に登場する一人の無双キャラに自身を見立て、ばっさばっさと敵をなぎ倒しつつヒロインに好かれるなんていう夢の展開を思い描いたことがある。
ただし、異世界やアクションといった架空のテーマに則った世界が単純に好きなわけではない。
これは現在支持を得ているアニメやマンガなどのフィクション作品にも言えることで、共感の持てる人情劇であったり、新しい発見といった“魅力”が含まれているストーリーでなけば、我々は率先して内容を知りたいと思わないのである。
そこでここで、私が皆に紹介したい良作品が『ソードアート・オンライン』(SAO)と『オーバーロード』の2つだ!
ともに、慣れ親しんだゲームの世界に閉じ込められ、その非現実的な世界での戦うことをテーマにした作品であり、その人気は、テレビ放送だけに留まらず映画化もされたほど。
本記事では、2作品の魅力を改めて追求し、厨二界のより良い発展を、そして同志たちとの親睦を深めていきたいと思う。
『SAO』-アニメ3期製作も決定!
仮想空間を疑似体験できるVRMMORPG(仮想現実体感型のオンラインゲーム)「ソードアート・オンライン(SAO)」の世界に閉じ込められた主人公、キリトが、現実に戻るため「SAO」の攻略を目指すところから始まる本作品。
のちにゲームをクリアして元の世界に戻れるわけだが、キリトはまた新たな問題に直面。その際も別のゲームに入ることで難関を乗り越えていくというのがストーリーの流れだ。
現在まで原作である文庫本が20巻まで発行されている他、漫画化、テレビ放送が2シリーズ(いずれのシリーズでも2クール放送)、映画化、ゲーム化とアニメファンはモチロン、アニメに日常的に慣れしたことがなくてもこの名を知っている人が多くいるほどのヒット作品だ。
本作だが、10月1日開催された、“電撃文庫秋の祭典2017”で、アニメ3期にあたる新作の製作も発表され、その人気は加速する一方だ。
なお、アニメ3期では、原作9巻以降のアリシゼーション編と外伝『ガンゲイル・オンライン』が物語の舞台になると言う。
◆仮想空間の中、孤独と仲間相反する概念を見事に融合
私が思うこの作品の素晴らしい点は、「孤独」と「仲間」という相反する概念が見事に同和しているところである。
かけがいのない楽しい時間を届けてくれるゲームが、我々にとってなくてはならない存在であることはその市場の大きさからもマチガイナイ。
ただ、気軽に楽しめるだけに、得てして“一人”の時間を創出してしまいがちであることも事実。
キリトも最初は引きこもりに近いゲーマーであったし、プレイ中もソロで攻略していくことを望んでいた。
そんな彼が、押し寄せてくる困難や様々な境遇にいるプレイヤーたちとの出会いを通じ、人と協力して物事に向き合う様は、とても感動的で共感したくなる内容であった。
社会問題でも取り上げられることにある「ゲームへの依存」についてという現実の課題を、架空空間での日々を描く中で問題提起しつつ、そして解決へとつなげていく作品は、現在数多あるフィクションの中にも中々見当るものではない。
PlayStation VR の販売によりさらにゲームが近接的になった現在、本作品の注目度はより高まっていくかもしれない。
アニメ2期『オーバーロードⅡ』2018年1月ON AIR
VRMMORPG「ユグドラシル」のサービス停止日、鈴木悟(以下、プレイヤー名のモモンガ)は、ゲームに入り最後の瞬間を待っていた。しかし、その瞬間が訪れても何故かログアウトされず、運営からも一切の連絡がこなかった。戸惑うモモンガに、自我を持たないはずのNPC(プレイヤーが操作しないゲーム内のキャラクター)がまるで1人のプレイヤーのように話しかけてきた!? “最凶のキャラが最強の存在を目指す”、ネット小説サイト『小説家になろう』から始まった痛快ダークファンタジーが『オーバーロード』である。
前述の通り、『小説家になろう』にて公開されているネット小説として始まり、書籍化(現刊行12巻)、漫画化、映画化、そして2015年にON AIRされたアニメの2期にあたる『オーバーロードⅡ』も2018年1月にON AIRが予定されている。いま最も注目されている作品のひとつと言えよう!
筆者の見解だが、おそらく、近い将来には何らかのカタチでゲーム化もされるのではないか?
◆作品が構築する王道ルートは、緻密に練られた各種設定の中で明々と輝く
『SAO』に勝るとも劣らない高い支持を得ている本作品の注目ポイント、それは色々とある。私はその中のひとつとして、キャラや環境などの各設定が細やかに練られていることを挙げたい。
たとえば、上記画像の二人のキャラ。2人はモモンガに使えるNPCでアウラ・ベラ・フィオーラ(左)、マーレ・ベロ・フィオーレ(右)という。
ポジション的にはどちらも優秀かつ強力なキャラでありながら、アウラはビーストテイマーおよび魔法職のクラスを持っている勝気な性格、マーべは後衛魔法職でありおどおどした性格と、違う特色をそれぞれが備えていて、モチロン使う魔法も違う。
2人のような違う魅力を持ったNPCが10名以上いる他、作中に出てくる魔法も相当数存在。効力、範囲、発動条件など、本物のゲームさながらの細やかな項目分けがされている。
これは魔法やキャラの特色に限らず、モモンガたちが侵攻を進める際に訪れる土地の特色や団体の設定もしかりで、王国に使える騎士団や冒険者たちが集うギルドなども存在。各項目を細かやに、そして深く練りこまれているために、作品を知れば知るほどその面白さが伝わってくるワケだ。
原作者、丸山くがね氏の深い愛情が感じられる本作品は、これからも私のように多くのファンの心を掴んで離さないに違いない。
――フィクションだからこそ実現可能な「夢」や「希望」がたくさんあり、非現実的なその空間に私たちは酔いしれ没頭する。
しかし、そんな至福のひとときよりも日々繰り返される平凡な時間のほうがずっと長く、現実逃避したくなることもままあるのも事実。変えることのできないリアルと、変幻自在なフィクションの世界の「どちらが良いか」なんて考えるまでもない。
ただ、逃げられない、目を背くことができない日々だけでは決して生活し続けることができないことも事実なのだ。
単調で苦しい物事の狭間で、安らぎの時間を提供してくれる『SAO』や『オーバーロード』といった名作を生んでくれた原作者、そしてアニメや書籍などを通じて我々のもとに届くまでに奮励し続けてくれている製作者たちに、改めて感謝の意を示したいと思う。
(Edit&Text/哲太)
TVアニメ「ソードアート・オンライン」オフィシャルサイト
©2017 川原 礫/KADOKAWA
アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
©2016 川原 礫/KADOKAWA
アスキー・メディアワークス/SAO MOVIE Project
©2014 川原 礫/KADOKAWA
アスキー・メディアワークス/SAOⅡ Project
©川原 礫/KADOKAWA
アスキー・メディアワークス/SAO Project
TVアニメ「オーバーロードⅡ」オフィシャルサイト
© 丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード2製作委員会