2018年2月9日より『劇場版マクロス△ 激情のワルキューレ』が、翌日2月10日より『コードギアス 反逆のルルーシュ Ⅱ 叛道』の公開がスタートとなりました。
この2本の共通点といえば、どちらも総集編映画であるということ。 いずれもTVアニメで放送された作品を再編集して映画化した作品です。
私はどちらのTVアニメシリーズも(例の如く)観ていなかったので、せっかくなのでこの2本を、連続して立て続けに鑑賞してきました。 作品としてはこの劇場版が初体験となったわけですが、総集編映画ならではの体験をすることができたので、その感想をレポートいたします。
『劇場版マクロス△激情のワルキューレ』体験
最初に観たのは『劇場版マクロス△激情のワルキューレ』。 本作は2016年に2クールに渡って放送されたTVアニメ『マクロスΔ』を再編成し、新規シーンなどを追加して1本の映画として完結させた作品です。
主人公のフレイアが、ワルキューレという音楽ユニットに加入するところから、敵国の壮大な野望を打ち砕くまでのエピソードが描かれます。
本作の見事なところは、その構成力。 2クールという長いスパンの映像作品から、必要な部分を上手い具合に抽出して、しっかり一本のストーリーとしてはじまりから終わりまでを成立させているところが見事です。
とはいえ、それなりに長い作品を凝縮したので、説明不足だなぁと感じさせる部分や、美雲やカナメといった別のキャラクターのストーリーも、主人公のフレイアとは別の軸で展開されていくので整理不足な印象があったのも否めないです。
『コードギアス 反逆のルルーシュ Ⅱ 叛道』体験
続いて観たのが『コードギアス 反逆のルルーシュ Ⅱ 叛道』。 こちらはシリーズ作となっており、『マクロス△』と違って一本の映画にするという選択をそもそもしていません。
TVアニメの『コードギアス 反逆のルルーシュ』とその続編『コードギアス 反逆のルルーシュR2』の1年分のTVアニメを3部作に分けて上映するという試みの作品です。
この『コードギアス 反逆のルルーシュ Ⅱ 叛道』は3部作の2作目にあたります。 初めて本作のストーリーを体験するので、より実感があるのですが、映画の密度がハンパなかったです。
TVアニメで毎週続きが気になる展開を披露していたであろうストーリーがぎゅぎゅっと2時間ちょいの時間に凝縮されたので、山場の後にすぐに山場が待っているような状態で非常に濃い体験をすることができました。本シリーズの面白さがこれでもかと伝わったひと時でした。
一方で、山場続きになってしまったことで、一本の映画としては起承転結という収まりが弱く感じてしまったのも悪い意味で印象的でした。 結局この映画のどこがクライマックスだったんだろう……といった、そもそもの映画のサイズに対しての不適切な感触が残ってしまいました。
総集編映画の今
どちらもTVアニメという別の枠組みを想定して作られていた作品なので、改めて映画と言う枠組みに収めようとすると、その工夫になるほどと思わされる瞬間もあれば、違和感であったり、不足部分であったり、不都合が生じてしまうものだなとしみじみ思う映画体験でもありました。
近年はTVアニメの総集編映画も数多く作られ始めて長いおかげで、歪さばかりが目立つ総集編映画も少なくはなってきたのですが、なかなかこの不都合を完全に緩和できる作品には出会えていません。
そんな中でも私が唯一、目を見張る総集編映画体験ができたのが2017年公開の『響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』です。
本作ではTVアニメサイズを意識させない見事な再構成を果たすことに成功しているのですが、大幅な新規カットなどが用いられているそうで、総集編映画を一本の映画作品として大成させるにはそれなりの努力が必要であることも示していたのかもしれません。
今回の『マクロス△』や『コードギアス』など、総集編映画のグレードも平均的に上がってきていると感じる今、もしかすると『響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』のような見事と思えるような総集編映画がどんどん出てくる時代も来るかもしれません。
焼き直し的な印象もあるかもしれない総集編映画ですが、今、まさに進化しようとしているといっても過言ではないでしょう。
(Edit&Text/ネジムラ89)
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