お姫様キャラと言えば、どのようなキャラを思い浮かべますか?
誰もが知っていそうなキャラと言えば『マリオ』に登場するピーチ姫でしょうか。ピーチ姫は物語の始まりに悪のキャラに捕まり、マリオの助けを待つというお姫様キャラのテンプレのようなキャラですよね。
近頃のアニメでは『魔王城でおやすみ』のスヤリス姫が、ピーチ姫と同じようなお姫様キャラと言えます。
また、戦うお姫様の姿も最近よく見かけます。国の存亡や命運を賭け、王家に受け継がれた優秀な能力で主人公と肩を並べ戦うのもよくあるパターンですよね。
しかし、冬アニメに登場するお姫様キャラには、なぜかお姫様なのに働いているキャラがいます。お姫様と言えば、働かなくても暮らしていける身分ですが、なぜ今季のお姫様は働いているのでしょうか。
ここでは、3人の働くお姫様をフォーカス。それぞれの働く理由と、気品あふれる魅力を紹介していきます。
◆『ログ・ホライズン』 もしかしてお金ない? バイト系お姫様「レイネシア」
<画像引用元:https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=loghorizon より引用掲載 ©橙乃ままれ・KADOKAWA/NHK・NEP>
一人目は『ログ・ホライズン』に登場するバイト系お姫様、レイネシア姫。周囲からは「薔薇園の姫君」や「憂いに満ちた黄昏の姫」と呼ばれる生粋のお姫様キャラです。今回紹介する中では、もっとも一般的なお姫様キャラで、雰囲気は深窓の令嬢という言葉がピッタリ。
しかし、そのお姫様然とした雰囲気とは裏腹に、性格は少しだらしなく、一日中ぐうたらすることを夢見ている残念系お姫様でもあります。
世にも珍しいニート志望のお姫様ですが、ぐうたらを目指すレイネシア姫が、なぜバイトをすることになったのでしょうか?
<画像引用元:https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=loghorizon3 より引用掲載 Ⓒ橙乃ままれ・KADOKAWA/LHP>
レイネシア姫の、ぐうたらした日々に終止符を打ったのは、主人公たち冒険者との出会い。そもそも、この『ログ・ホライズン』は、ゲーム世界に閉じ込められたプレイヤーたちを描いた物語で、登場キャラたちは、プレイヤーである冒険者と、元々ゲーム世界にいた大地人と呼ばれる住人の2種類に分けられます。
本作は、冒険者たちがゲーム世界でどのように生活していくのか、大地人とどのように交流していくのかに主眼が置かれたアニメ。そんな大地人の代表キャラとして登場するのが、レイネシア姫です。
ぐうたらな日常を愛しながらも、どこか退屈していたレイネシア姫は冒険者と出会い波乱万丈の人生を歩んでいきます。
だらけきった生活を望んでいたレイネシア姫ですが、冒険者と出会い、流れに巻き込まれ、あれよあれよという間に、冒険者と大地人の橋渡し役として多くの冒険者が拠点としている街の大使(相談役)になることに。
そんなレイネシア姫がなぜ、バイトをすることになったのか……。純然たるお姫様であった彼女は、橋渡しをすることで仲介料や手数料のような金銭を受け取るという考えがありませんでした。
レイネシア姫は、お金の概念をあまり理解していなかったのです。
そもそも、お姫様であるレイネシア姫は、自分で買い物をした経験がなく、大体は売っている物を指差すだけで翌日城まで届くのが当たり前、お金を持つ必要性がありませんでした。
しかし、彼女が移り住んだ街は冒険者の街。お金で物が売り買いされています。その中にはレイネシア姫が欲しい物もありましたが、指を差すだけではお買い物できません。当然、お金が必要。
<画像引用元:https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=loghorizon2 より引用掲載 Ⓒ橙乃ままれ・KADOKAWA/LHP>
それを親しい冒険者に相談したレイネシア姫は、お小遣いと将来設計のためにバイトをすることになります。しかも、カフェでのバイト。実にお姫様に似つかわしくない庶民的なバイトですよね。ドレス姿から一転、庶民的なウェイトレス姿が本当にキュート。給仕をしているのにも関わらず、気品があるれているところなどはお姫様らしい。
世にも珍しい“バイトするお姫様”は、世間知らずなレイネシア姫と、庶民的過ぎる考え方も持った冒険者たちのノリによって生み出された、なんとも面白い産物だったワケです。
「世間知らず、ここに極まれり」といった感じのお姫様という身分の彼女ですが、バイトをすることで、より冒険者にとって親しみやすくなり、多くのファンや支持を集めることになります。
レイネシア姫は、頼りない雰囲気を持っていますが、どこか応援したくなるようなお姫様です。
◆『ラスダン』 国のため魔女になる! お姉さん系お姫様「マリー」
<画像引用元:https://lasdan.com/story/01.html より引用掲載 ©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会>
2人目のお姫様キャラは『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』(略称、ラスダン)に登場するお姉さん系お姫様、マリーです。
アザミ王国という、かなり大きな国のお姫様でありながら、身分を隠し、雑貨屋と情報屋を営んでいる魔女という、中々情報量の多いキャラ。ここで紹介する中では、最もお姫様らしくないキャラかもしれません。どちらかと言うと、魔女の方が似合っているのかも。
性格も「本当にお姫様なの?」と思ってしまうほど逞しく、庶民的でもあります。そんな庶民系お姫様であるマリーは、なぜ身分を隠し雑貨屋で店主をしているのでしょうか?
<画像引用元:https://lasdan.com/story/03.html より引用掲載 ©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会>
マリーの本名は、マリア・アザミ。「本当に身分を隠しているのか?」と思うほどひねりのない名前ですよね。そもそも彼女は、特に変装もしていないため、見る人が見れば即刻マリア姫だということがバレてしまう様な風貌をしています。「えっそれでいいの?」といった具合に、ちょっと抜けた性格であるのが、マリーの可愛いところ。
そんなマリーが城を飛び出し魔女になったのは、なんと国を救うため。
ある日を境に穏やかだった父(王)は、戦争を望むようになり国は軍事主義に傾倒していきます。このままでは国が無意味な戦争を始める……。父の変貌っぷりに不審を抱いたマリーは、元の父に戻ってもらうため、あらゆる呪いを解く力を持つ解呪のルーンを習得するため、ある村で魔女の修行を受けることに。そして彼女は魔女として城を飛び出します。
そして、マリーは無事、解呪のルーンを取得。それを最高のタイミングで使用するため街に潜伏することになります。雑貨屋や情報量を営んでいるのは、隠れ蓑であり情報収集も兼ねているのでしょう。
お姫様にも関わらず、店主として働くマリーですが、お姫様っぽいところも滲み出ており、その中でも特に掃除が苦手。そのため、大事な隠れ蓑であるはずのお店は、お姫様が営んでいるとは思えないほど、汚いものとなっています。
さらに、料理も非常に苦手で、食事に困った時などは、泣きながら近所の奥さんの元へおすそ分けを恵んでもらいに行くというなんとも情けない一面も。この生活力の無さは、まさにお姫様そのものです。
かなり重い人生を歩んでいるように思われるマリーですが、作中ではそんな重苦しい雰囲気を感じさせることはなく、むしろ明るく笑いを届けてくれるようなキャラとして描かれています。
そもそも、彼女自体かなり軽いノリのキャラで、場合によっては土下座も辞さない系のお姫様。ノリと勢いで生きているギャグ世界のお姫様とも言えます。
また、結構面倒見のいいお姉さんキャラという一面も作中確認できます。村を出てきたばかりの主人公に対しては何かと世話を焼く場面が多々あり、非常に主人公からは慕われています。マリー自身も幼いながら生活力の高い主人公に対しては良きお姉さんとして想いを寄せることに。そんな主人公とは、一つ屋根の下で暮らしているものの、残念ながらあまり関係は発展しません。
<画像引用元:https://lasdan.com/story/03.html より引用掲載 ©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会>
と言うのも、マリーの師匠であり、主人公の出身地の村長でもあるキャラが主人公を溺愛するあまり、事ある毎に彼女と主人公の関係を邪魔しているのです。
その邪魔というは、かなり地味な嫌がらせで、時には蝶になってしまう魔法をかけられ、時には10分に1回腹痛がくる呪いをかけられる、といったようなもの。
マリー自身は、あまり品のある姿を見せてはくれませんが、国のために、魔女になるという行動事態は、お姫様に相応しい気品あふれる行動なのではないでしょうか。
マリーは、お姫様でありながらギャグも担当できる良い味を出すキャラとして『ラスダン』の話を支えています。
◆『オルタンシア・サーガ』 国が乗っ取られた? 身分を隠す系お姫様「マリユス」
<画像引用元:https://animehorsaga.jp/story/?id=03 より引用掲載 ©オルタンシア・サーガ製作委員会>
最後のお姫様は『オルタンシア・サーガ』に登場する身分を隠す系お姫様、マリユスです。
身分を隠しているのは『ラスダン』のマリーと同じですが、マリユスの方がより深刻であるのがポイント。また、身分を隠すため、男装していることもマリーとの大きな違い。男装した彼女は凛々しく、お姫様の姿とのギャップが非常に魅力的です。
ではなぜ、マリユスはお姫様であることを隠し、男装することになったのか?
<画像引用元:https://animehorsaga.jp/story/?id=01 より引用掲載 ©オルタンシア・サーガ製作委員会>
元々、オルタンシア王国の王女であったマリユスですが、国で反乱が起こり、父である王が討たれてしまいます。その時、マリユスは刺客から逃れるため城を脱出。落ち延びることに……。国王である父が討たれた後は、国教であるオルタンシア正教会の教皇に政治を乗っ取られることになります。このまま国に戻っても暗殺されるだけだと危惧したマリユスは、身分を隠し近衛騎士であった主人公の叔父を頼り、主人公のいる領地へ。そこで、マリユスは姫であった自身を捨て去り、主人公の従者として働くことになります。決別の証として、美しかった金髪をバッサリと切り、名前もマリエル・レ・オルタンシアからマリユス・カステレードに変え、そして男装することにしたのです。
従者として、剣を振るうこともあり、お姫様であった頃とは一変した生活を送ることとなったマリユス。時には、隣国との戦争にも駆り出されることもありました。
境遇で言えば、ここでフォーカスした3人のお姫様の中でも最も過酷な人生を歩んでいると言えます。
<画像引用元:https://animehorsaga.jp/story/?id=06 より引用掲載 ©オルタンシア・サーガ製作委員会>
マリユスの男装は、主人公にすらバレておらず、主人公はマリユスのことを男友達のように接しています(※主人公はマリユスがお姫様であることを知らない)。本当は女の子であるにも関わらず、男装しているためか、親友のような気安さがあるのがマリユスの魅力でもあります。作中では、まだ男装したままですが、いつか王女である身分を明かし、女の格好をする時がくるでしょう。その時のギャップが非常に楽しみなキャラです。
――ここでは、レイネシア姫、マリア姫、マリエル姫、3人のお姫様を紹介しましたが、どのお姫様も少し違った魅力を持ったキャラですよね。
どのキャラも作中で重要になる仕事をしているが共通点。お姫様は守られるだけではないことを教えてくれます。また、そういった仕事をしながらも、どこか気品が漂っているのも特徴です。
どのキャラも気品だけでなく、可愛さを備えたどこか愛着の湧くキャラなので、彼女たちが登場するアニメをまだ観ていない方はぜひ、それぞれのアニメをチェックしてみてください。
〈文/天乃ひる〉
Ⓒ橙乃ままれ・KADOKAWA/LHP
「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」TVアニメ公式サイト
©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会
©オルタンシア・サーガ製作委員会