昨年、TVアニメも完結を迎えた『進撃の巨人』。このアニメには、数々の名シーンがあり、リヴァイと獣の巨人が戦うエピソードなどはファンの間で名シーンとして語られることがあります。また、エレンの「地鳴らし」には、どのような意味があったのでしょうか?
◆TVアニメ『進撃の巨人』最高にアツい! 不朽の名シーン
『進撃の巨人』はキャラの心理描写がうまく描かれたシーンや、ワクワクするような戦闘シーンが盛りだくさんですが、どんな名シーンがあるのでしょうか?
●絶望し激高するミカサの表情変化が鮮明に描かれた名シーン
<画像引用元:https://shingeki.tv/season3/story/#/season1/21 より引用掲載 ©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会>
1期第21話では、迫りくる女型の巨人にリヴァイ班が全滅。1人取り残されたエレンは怒り狂い一騎打ちを挑みます。しかし、あと一歩のところで敗北。捕らわれてしまいます。
この巨人同士の激戦も名シーンですが、それを差し置いて名シーンと呼ばれているのが、捕らえられたエレンをミカサが助けようとするシーン。
このシーンの魅力はなんと言っても、冷静なミカサが感情を爆発させるところ。連れ去られるエレンを見て「行かないで」と絶望の表情を浮かべるミカサの様子。そして、その直後の「エレンを……返せ!!」と激高する彼女の表情が鮮明に描かれており、ミカサがエレンを思う気持ちが強く表れていました。
この刻々と変化する激しい表情は、アニメだけでしか観ることができません。また、巨人の周囲を縦横無尽に飛び回る立体機動もこの回の見所となっています。
●怒涛の展開にハラハラさせられる激アツなシーン
<画像引用元:https://shingeki.tv/season3/story/#/season3/52 より引用掲載 ©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会>
2期第6話(31話)の後半で描かれたこのシーンは、主人公たちではなく、敵である巨人たちが最高にカッコいいシーンです。また、エレンたちの絶望を演出したシーンでもあります。
調査兵団の裏切り者として追い詰められたライナーとベルトルトは、全てを打ち明けエレンを連れて行こうとしますが、上手くいきませんでした。動揺した2人は、巨人に変身してエレンを強制的に連れて行くという一か八かの賭けに出ます。
名シーンと呼ばれるのは、この後の一瞬の出来事。
これまでの3年間の全てを捨てる覚悟を決めたライナー。不穏な気配を感じ、2人を始末しようとするミカサ。どちらも覚悟を決めた行動でしたが、ライナーの覚悟がミカサのものを上回ります。そして顕れるのは宿敵の巨人。連れ去られるエレンとユミル。「この裏切り者が!!」と叫ぶエレンの悲壮感。全ての情報が止まることなくこの一瞬に凝縮されています。
アニメだからこそ生まれた息を呑むような激アツなシーンは、一瞬の間にあまりにも多くのことが起こったTVアニメ『進撃の巨人』屈指の名シーンです。
●「もっと楽しんでくれよ!!」 獣の巨人vs. リヴァイ兵長の白熱した戦闘シーン
<画像引用元:https://shingeki.tv/season3/story/#/season1/20 より引用掲載 ©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会>
獣の巨人を攻略するため、決死の作戦を敢行する調査兵団。ごく一部の兵力を残し全ての調査兵団が無謀にも獣の巨人に突撃していきます。無数の死体を積み重ねる無謀な作戦でしたが、名シーンとなるのはこの後。
調査兵団を囮にし、獣の巨人に接近したリヴァイ兵長が獣の巨人に襲いかかります。
あまりにも早すぎる立体機動と、鮮やかな戦闘に釘付けになってしまうことマチガイナシ! 調査兵団を率いて囮となったエルヴィン団長の無念を胸に怒り狂うリヴァイ兵長の「もっと楽しんでくれよ!!」というセリフは、普段とは違う強い怒りを感じます。
この名シーンが何より物語っているのは、リヴァイ兵長の強さ。無数の調査兵団を屠った獣の巨人を、高所のない平地でバラバラに切り刻んでいきます。その姿はまさに鬼神。
知性ある巨人相手に、ここまで無双するのが描かれているのはこの名シーンだけです。
詳しく読む⇒TVアニメ『進撃の巨人』最高にアツい! 不朽の名シーン5選
◆エレンが「地鳴らし」を始めたワケ!彼がごめんと泣いたのはなぜ?【考察】
エレンの地鳴らしには意味があった──?
巨人を操る「地鳴らし」でマーレ大陸へ攻撃を始めたエレン。しかし、大量殺戮を決めながらも、被差別民として暴行を受ける少年を助け、「ごめん」と涙する姿もありました。泣くほど苦しいのに、なぜ「地鳴らし」を行ったのかいくつかの説が考えられます。
壁の外への「自由」を求めていた純粋なエレンが、大量虐殺に踏み切ったきっかけはいつだったのでしょうか?
●マーレでの差別を目の当たりにして絶望したから?
壁外を知ったエレンは絶望し、それがきっかけで「地鳴らし」行為に及んだとも考えられます。
エレンを含む調査兵団は、マーレ大陸との交友関係のきっかけを探るため、ヒィズル国の助力を得てお忍びでマーレ大陸に上陸する機会を得ました。その上で、エルディア人の人権に関する講演会に出席しています。
しかし、そこで主張されていたのは、パラディ島のエルディア人は「島の悪魔」と強く蔑視・敵対視し、そのほかの国のエルディア人を擁護する思想でした。
パラディ島に対する憎悪は、「外の世界」に根付いた一般的な思想であり、マーレ大陸の存在すら知らず、歩み寄ろうとしているハンジたちとは、平行線どころの違いではありません。まったく“別の世界の常識”といった印象です。
ゾッとした面持ちのハンジたち調査兵団の仲間を尻目に、エレンは一人だけ講演会を後にします。
エレンたちがこれまで戦ってきたのは、あくまでも人間ではなく“巨人”という認識でした。
しかしマーレ大陸への上陸後は、人間同士のいがみ合いや、生まれによる差別も目にしています。外の世界は憧れていた自由とは程遠く、人間同士の醜い日常が繰り広げられていたのです。
壁外での自由に憧れていたエレンは、より深い絶望を抱いたハズ。
これがきっかけになったのか、単独で潜入活動をし、奇襲を仕掛けています。これは「地鳴らし」を実行するための前哨戦といえるのではないでしょうか。
●「王家の血」と「始祖の巨人」の能力に気づいたとき
<画像引用元:https://shingeki.tv/final/story/#/episode/79 ©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会>
エレンが「地鳴らし」を行った背景には獣の巨人・ジークの存在があるのかもしれません。
エレンは、その体に複数の巨人を宿しています。一つはほかの巨人を支配できる「始祖の巨人」ですが、普段はその力を扱えません。ただし、一度だけその能力が発動されたタイミングがありました。それは巨人化した「王家の血」を引くダイナと接触したときです。
エレンは王家の血と始祖の巨人が合わされば、「地鳴らし」が可能だと気づきます。しかし、壁内で王家の血を継ぐのはヒストリアのみで、彼女を犠牲にする覚悟は持てませんでした。
ところが、王家の血を引く腹違いの兄ジークが、エレンへ接触を図ってきました。
ジークの狙いは、エレンと手を組み、エルディア人から生殖能力を奪う「安楽死計画」の実行。エレンは内心では賛同していなかったものの、ジークに協力的な姿勢を見せ、マーレ潜入時にも頻繫にやり取りを重ねています。
エレンが持つ「進撃の巨人」は未来を見通す力があり、「地鳴らし」は避けられないこれから起こる現実だったのかもしれません。ですが、ジークとの出会いが「地鳴らし」へ突き進むきっかけの一つとなったのは間違いないでしょう。
詳しく読む⇒『進撃の巨人』エレンが「地鳴らし」を始めた3つのワケ!彼がごめんと泣いたのはなぜ?【考察】
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
※サムネイル画像:©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会