「総選挙」と言えば、今やアイドルや二次元キャラクターの「人気投票」を指す言葉となって久しい。

 人気ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』でも毎年総選挙を行っており、今年も第7回総選挙の結果が5月14日に公開されたばかりである。

 第1回から第6回に至るまでと大きく異なる結果を残し、ユーザーであるプロデューサーに大きな刺激を与えた第7回総選挙。それがどれほどのものだったのか、今までの総選挙を振り返りながら見ていきたいと思う。

第1回から第3回までの総選挙

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER We're the friends! 販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
画像引用元:THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER We're the friends!
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント

 2011年11月28日に始動を開始した新たなアイドルマスター、それが『アイドルマスター シンデレラガールズ』(以下、モバマス)である。そして第1回総選挙は2012年の7月に行われた。

 ここで栄えある第1位に輝いたのは、パッション属性(以下Pa)十時愛梨であった。

 無料で2枚の投票権がもらえたが、課金すれば有料で投票権が更にもらうことができ、1人当たりの投票数に制限が設けられることもない。

 投票後に感謝や決意を述べる各アイドルの新規コメントが見られる、何より上位に食い込んだアイドルには、新規カードや楽曲提供など、新たな活躍の場が見られる……第1回総選挙後のゲーム展開を見たプロデューサーはそう確信し、2013年4月に開かれた第2回総選挙に臨むこととなった。

 第2回総選挙で第1位となったのはクール属性(以下Co)の神崎蘭子である。

 なお第1回総選挙では第1位から第10位までの得票数合計が382,032票だったが、第2回では第1位の得票数だけで391,769票となった。これだけでプロデューサーの総選挙に対する期待値を伺うことが出来る。

 そして2014年4月、第3回総選挙を制したのはCo渋谷凛

 メインビジュアル3人のうちの1人である。得票数自体は第2回総選挙ほどの勢いはなくなったが、注目すべきは第6位の鷺沢文香と言えるだろう。

 アイドルマスターシンデレラガールズは配信当初から183名いたわけではなく、後々実装されたキャラクターも多い。第1回、第2回開催時にはまだ実装もされていなかったこのキャラクターが、配信初期からいたキャラと並び第6位に食い込んだのだ。このタイミングでユーザー層の拡大と総選挙の意義の変化が反映されてきたと言えよう。

総選挙と「ボイス」の切っても切れない関係性

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Absolute Nine販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
画像引用元:THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Absolute Nine 販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント

 第2回総選挙から、上位アイドルにはCDデビューが約束されることとなった。

 これはすなわち「ボイスが実装される」ことを示す。ボイスがついているのとついていないのでは、活躍の場が天と地ほどの差がついてしまっている、というのが現在まで続くプロデューサーのおおよその見解。

 アニメに出てもセリフはモチロンなく、曲もなければライブに出ることもない……。

 2015年に配信された『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下デレステ)では、2018年1月に新規イベントが実装されるまでボイス付きキャラクターに見られたイベントシナリオの付与も叶わなかった。

 2014年11月には通称「ボイス争奪選挙」が開催されたこともあり、第4回から第6回までの総選挙にはその現実が如実に反映されている。

 ボイス争奪選挙を勝ち抜き1位となった橘ありすのすぐ下、速報1位から接戦の末に第2位という結果となったのが塩見周子であり、彼女こそがその後の第4回総選挙でシンデレラガールを勝ち取ったのである。

 モチロン総選挙で上位になるキャラクターだけにボイスが付くわけではない。ガチャ更新、アニメ出演、スピンオフ漫画でのメインキャラ抜擢、それらのタイミングでボイス実装に至ったキャラクター達もおり、ボイスが付くかどうかは結局運営次第というのが現状だ。だからこそ、プロデューサー自身の投票作業によって「自分の担当にボイスが付けられる」というものが総選挙の意義へと変わっていった。

 ボイスに関係なく「自分の担当をシンデレラガールに」という動きももちろん変わらずあるが、ライト層による浮動票などはやはり「この子にまだ声がついていないから」という動き方を見せており、第5回総選挙ではボイス未実装の三船美優、森久保乃々、依田芳乃が第3位から第5位、第6回総選挙では同じくボイス未実装の藤原肇、荒木比奈、喜多見柚が第3位から第5位を飾っている。

 そして総選挙が実質ボイス争奪戦となってしまったことに対して、批判の声も上がり始める。ボイス実装が確定したキャラが翌年の総選挙で大幅に順位を落とすことが通例となってしまい、これでは純然たる総選挙と言えないのではないかという批判の声だ。しかし担当がボイス未実装であるプロデューサーの心情を想うと……そんな多くのジレンマが交錯する中で開催されたのが、2018年の第7回総選挙だった。

ある意味で象徴的となった第7回総選挙

 第7回総選挙で、一つの大きな試みがあった。

 通例、総選挙とはモバイル版シンデレラガールズ……すなわち『モバマス』内でのイベントとされてきた(『モバマス』と『デレマス』はゲーム内容が大きく異なっている)。

 第6回総選挙では『デレステ』内で同期間に「楽曲総選挙」「ユニット総選挙」が行われていたが、第7回では『デレステ』でも投票権を配布し投票が可能になったのである。

 同じキャラクター、同じ世界観とは言え、ゲーム内容に大きな違いが見られることもあり、片方のみプレイしていると言うプロデューサーも珍しくはない。

 今年から初めて、多くの『デレステ』ユーザーが総選挙に参加することとなったのだ。

 投票券の獲得方法も従来から変更が加えられ、これがもたらした結果は非常に大きなものとなった。「第7回総選挙シンデレラガールズは安部菜々を――」特別な数字を自身にとって特別なキャラクターに贈りたいと言うウサミンPの悲願を、2位の本田未央と約37万票の差をつけ達成する。


 驚くべきはその得票数だ。アニメ放映、『デレステ』配信の影響で得票数が爆発的に伸びた第5回・第6回総選挙のシンデレラガール島村卯月、高垣楓のそれぞれ約100万票から安部菜々はさらに倍の200万票獲得に至った。

 そして従来との違いと言えば、ボイス付与の如何である。

 第7回総選挙で10位以内に入ったボイス未実装のキャラクターは第4位の鷹富士茄子のみ、ボイス実装後の翌年は圏外になることも珍しくないと言われる中で、前年3位の藤原肇は50位にランクインを決めた。

 明らかに例年と異なった様相を呈する第7回総選挙である。これが果たして今年1年の活動にどのような影響をもたらすのか、そして第8回総選挙がどうなるのか、現時点で予想を立てるのはかなり難しいと言えそうだ。

 

 ――具体的な数字がついてしまうだけあり、ナイーヴな気持ちになってしまうプロデューサーも多い。

 好きな子に報いたいと思っても、自身で獲得できる投票券が多くなく、罪悪感を覚えてしまうプロデューサーもいるかもしれない。

 しかし『アイマス』では、常に「プロデューサー=最初のファン」という世界が描かれてきており、シンデレラガールズもそれは例外ではない。

 例えたった1票でも、その投票を真摯に受け止め、喜び、また1年を走り出す担当アイドルが間違いなくそこにいるのだ。

 そんなアイドルとプロデューサー達が作り上げる今後の『アイドルマスター シンデレラガールズ』を、今後もイチプロデューサーとして見守りたいと思う。

(Edit&Text/三井ハチ)


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