劇場版が公開され、興行収入が日本の歴史に残るレベルになるなど、大きな話題となっている『鬼滅の刃』。
今、日本で最も読まれている漫画と言っても過言でない作品ですが、なんと最終巻発売が目前に迫り、漫画も完結間近です。寂しいばかりですが、劇場版が好調だったこともあり、おそらくアニメの続編も作られていくでしょう。
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=8 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
そこで、今後も続いていくと考えられる『鬼滅の刃』のストーリーに備えて、今一度アニメ名シーンを振り返ってみませんか。今回は、そんな思いの元、ついつい語り合いたくなるアニメ『鬼滅の刃』の名シーンを紹介したいと思います。
◆『鬼滅の刃』はここから始まった! 鬼化しても家族を守る禰豆子に感動
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=1 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
最初に紹介するのは、第1話。冨岡義勇に気絶させられた炭治郎を鬼化した禰豆子が庇うシーンです。
鬼になってしまった禰豆子を退治しようとする冨岡義勇。それを止める炭治郎でしたが、相手は鬼殺隊の柱、敵うはずがありません。一方的にやられ、気絶してしまいます。そこへ、禰豆子が炭治郎と冨岡義勇の間に割って入り兄をかばったシーンになります。
このシーンで語り合いたくなるポイントは、どんな状況でも消えることのない家族愛です。
ここでの炭治郎と禰豆子はお互いに極限の精神状態でした。炭治郎は、禰豆子以外の家族を全員殺され、そして一度は禰豆子に襲われています。それでも尚、禰豆子を信じ、助けようとする家族愛に感動した方は多いのではないでしょうか。
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=1 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
また、禰豆子も鬼になり理性を失うという状態であるにも関わらず、たった1人残った兄を助けるために、冨岡義勇の前に割って入ります。アニメでも解説が入っていましたが、この時の禰豆子は怪我をしており、その怪我を治すために飢餓状態にありました。
飢餓で無くとも、鬼は本能的に人を食べたくなる生き物。それを押さえ込んで兄を守ろうとする禰豆子の家族愛には感動してしまいますね。
しかも、この禰豆子の決死の思いが冨岡義勇の鬼は殺すべきという考えを変えさせたシーンでもあります。それだけ衝撃的な出来事だったのでしょう。
ですが、これも冨岡義勇だったからこその展開。もしも炭治郎の前に現れた柱が冨岡義勇でなかった場合、禰豆子は斬られていたかもしれません。多くの鬼と戦ってきたにも関わらず、固定観念に囚われず、禰豆子は他の鬼と違うかもしれないと考えた柔軟さには驚いてしまいますね。冨岡義勇の下した判断も語り合いたくなるポイントと言えるでしょう。
『鬼滅の刃』はただ、鬼を倒していく物語ではなく、こうした人と人の思いが複雑に絡み合った物語です。このシーンでは、3人の思いが絡み合っていましたね。鬼滅ファンの中には、このシーンを観て、『鬼滅の刃』を好きになった人も多いのではないでしょうか。
◆ここまで人を信じられるのか!! 炭治郎と視聴者を感動させた鱗滝からの手紙
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=3 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
次に紹介するシーンは、少し飛んで第22話。鬼殺隊柱が全員集合し、禰豆子の存在を容認するのかしないのかを揉めたシーンです。
元十二鬼月である響凱を倒した炭治郎でしたが、鬼殺隊に禰豆子が鬼であるとバレてしまいます。例え家族であろうと、鬼を庇うことは隊律違反。炭治郎と禰豆子は、柱たちの前に連れ出され審問にかけられることに。
審問と言っても、当然反対の声が多数。即座に処刑するべきという声が上がります。必死に弁解する炭治郎でしたが、「これからも、人を食わないと断言できない」「人を食ってしまったら、どう責任を取るんだ?」と責められることに。
そこで、登場したのが、鱗滝左近次からの手紙です。
その手紙には、禰豆子は今後も人を食わないであろうことと、締めの文として、
「……もしも、禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎、および鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を斬ってお詫びいたします」
と書かれていました。
柱たちに存在を否定され続けていた炭治郎にとって、この手紙がどれほどの救いになったことでしょう。この手紙が読まれた後、炭治郎は無言のまま涙を流します。炭治郎と同じように、涙を流した視聴者も多いのではないでしょうか。
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=21 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
ここで語り合いたくなるポイントは、他人の無罪に命をかける鱗滝左近次と冨岡義勇の心のあり方です。普通なら到底できないことですよね。
鱗滝左近次も冨岡義勇も柱という鬼との最前線を経験している人間です。鬼が最愛の人を食らう瞬間など、いくらでも見てきたはず。それにも関わらず、禰豆子は他の鬼とは違うと、庇った2人の覚悟と信頼には感動してしまいますね。
このように、2人の心意気が素晴らしいのは、勿論のことなのですが、忘れてはいけないポイントは、この2人を動かしたのは、炭治郎と禰豆子の家族愛という点です。
家族愛が冨岡義勇、鱗滝左近次を信用させ、さらに2人の口添えで、産屋敷耀哉が動き、最終的には鬼殺隊柱を納得させました。
思いを汲み取って、思いを繋いでいく、感動のシーンですね。炭治郎が真に鬼殺隊の一員になったのもこの出来事からと言えるでしょう。それくらい大事なシーンです。
◆炭治郎の人柄に感動…心を閉ざし続けるカナヲにかけた言葉とは
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=25 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
最後に紹介するのは、第26話。療養と修行が終わり出発する炭治郎が、去り際カナヲに言葉をかけたシーンです。
指示に従うばかりで、自分の意志を持たなかったカナヲが、これを気に少しずつ自分の意志を持っていくという感慨深いシーンになります。
ここで感動するのは、炭治郎のセリフの数々です。
「どうでもいい」
「指示されていないことはコインを投げて決める」
と達観した様子のカナヲに炭治郎は、
「きっとカナヲは心の声が小さいんだろうな」
と声をかけ、カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くことを賭けにコインを投げます。
炭治郎の望み通りの結果が出て「なんで表を出せたの」と不思議そうなカナヲに炭治郎は「裏がでても、表が出るまで何度でも投げ続けようと思っていたから」と答え、カナヲの心を揺さぶりました。
<画像引用元:https://kimetsu.com/anime/risshihen/story/?story=25 より引用掲載 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable>
熱い言葉を叫んで、心を開かせるシーンも感動しますが、こうした穏やかに相手を包み込んで心を解きほぐすシーンにも炭治郎らしさが滲み出ていて感動してしまいますよね。
まず、カナヲの心を「心の声が小さい」と表す炭治郎の受け取り方がいいですよね。「心がないわけじゃない、ちゃんとある、だけど小さいだけ」とカナヲの状態をよく表し、また深い配慮のある言葉だと言えるでしょう。
また、カナヲが自分の意志をハッキリ出せるように、理屈を並べたり、正論を言ったりするのではなく、これまでカナヲが従ってきたコインに運命を託すのもいいです。
しかも、コインに託すのは、「これからは、自分の意志で行動すること」ではなく「カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くこと」。自分の意志で行動するには、どうすればいいのかのヒントがちゃんと隠されているわけです。無理せず、ゆっくりでいいと言う炭治郎の思いが行動や言葉の端々にうかがえますね。
「裏が出ても、表が出るまで何度でも投げ続けようと思っていたから」と言うのも、カナヲとは全く違う生き方をしている炭治郎らしさが出ています。どんなことでもコインに運命を決めてもらっていたカナヲにとって、自分の出したい目が出るまで振り続けると言うのは、驚きだったのではないでしょうか。
このシーンでは、先に紹介した2つのように大きな感動が一瞬で訪れることはありませんが、一連の状況、気使い、心の動きに深く感動できるシーンでした。
――以上が、筆者が選んだ語り合いたくなる『鬼滅の刃』名シーン3選です。今回は特に心に響く名シーンを紹介してきましたが、『鬼滅の刃』には、まだまだ感動するシーンや震えるほどかっこいいシーンがたくさんあります。
何度観ても感動するシーンばかりなので、「このシーン注目して観ていなかった」などあれば、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。感動すること間違いないですよ。
(Edit&Text/天乃ひる)
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記となります。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable