往年の名作映画を上映する企画「午前十時の映画祭11」にて、1993年に制作されたストップモーションアニメーションの名作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の上映が12月10日(金)からスタートしました。

 2週間限定上映となってはいますが、映画館によっては12月24日(金)より上映をする映画館もあるので、年明けにかけて本作を劇場で楽しむことができる貴重な機会となっています。クリスマスに『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を映画館で観られるのは素敵ですよね。

 そんな『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』意外と勘違いされやすいのが本作の監督です。原案を担当しているティム・バートン氏の監督作と思われたりもするのですが、実は本作の監督を務めているのは『コララインとボタンの魔女』のヘンリー・セリック監督です。じゃあティム・バートン氏は関わっていないのか?といえば、そうでもないのも実際のところ。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』はどのようにして作られていったのでしょうか?

◆ディズニーを追い出されてしまうティム・バートン

 時を遡ること1980年。ディズニーに所属していたティム・バートン氏はテレビの特番として『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を企画として提案します。しかし、当時はまだ子供向け作品には、バートンのセンスは子供には不気味すぎるという評価を受けて企画は頓挫。その後も、死んでしまった犬を蘇らせるといった内容の実写短編『フランケンウィニー』(後の2012年にリメイク版が公開)の制作を契機に、ディズニーはバートン氏を解雇することになります。この頃のディズニーでは、ティム・バートン氏を評価することができませんでした。

 しかし、『フランケン・ウィニー』を観た俳優のポール・ルーベンス氏に見出されたバートンはディズニーを出て、長編映画『ピーウィーの大冒険』を監督。これを皮切りに『ビートルジュース』『バットマン』『シザーハンズ』とヒット作を立て続けに生み出し、一躍人気監督となります。

◆復活する『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の企画

<画像引用元:ナイトメアー・ビフォア・クリスマス オリジナル・サウンドトラック スペシャル・エディション 販売元:ウォルト・ディズニー・レコード>

 実写映画での成功を収めたバートンでしたが、まだ『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の制作を諦めたわけではありませんでした。ディズニーも、かつては首を縦に振りきれなかった『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の制作を、バートンの数々の成功を踏まえ、今度こそ形にしようと動き出すことになります。

 しかし、製作までの課題はまだ残っていました。すでに売れっ子監督であったバートンは『バットマン・リターンズ』の監督に携わることが決まっており、構想していたストップモーションアニメーションのような製作に時間を要する作品の監督としては携わることができなかったのです。

 そこで、登場するのがかつてティム・バートン氏とはディズニーで同僚という関係であったヘンリー・セリック氏です。彼もまたすでにディズニーを離れており、独自のアニメーション製作の道を歩んでいました。セリックの作品を観たバートンは、共通の友人を通して再会し、監督をセリックに委ねる形で、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の企画を実現するのでした。

◆サンフランシスコ育ちの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

 セリックは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を製作するべく、アメリカの西海岸にあるサンフランシスコに、スタジオをかまえることになります。当時すでに、サンフランシスコには『スターウォーズ』の製作のために設けられたインダストリアル・ライト&マジック社があったため、ストップモーションアニメーションに精通した人材が多くいました。

 また、ロサンゼルスから距離がある地での製作ということで、ディズニーやバートンですらアクセスしづらい状況にして、できる限りプレッシャーを感じない状態で製作できるメリットもありました。こうしてじっくりと制作環境を整え、約3年という期間をもって『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』は完成へと到達することになります。

 バートンの製作自体への関与もトータルで2週間ほどないとも言われていますが、それでも『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』に“ティム・バートン色”が強く感じられるようにできているのはセリックによる調整の賜物であり、原作者であり、作品に対する思い入れのあるバートンへのリスペクトを見事に形にしてくれた結果なのではないでしょうか。

◆ヘンリー・セリック監督最新作『Wendell and Wild』

 ただ、見事に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を完成に導いたセリックよりもバートン作品としての見え方が強まってしまったのには、それはそれで寂しさもあります。

 『ジャイアント・ピーチ』『コララインとボタンの魔女』など、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』以降も長編作品の製作に携わっているものの、バートンほどの知名度を獲得できていないのが惜しいところ。今一度、セリックにスポットが当たって欲しいところなのですが……2022年、ついにそんなセリックの最新長編作が公開予定となっています。

 その名も『Wendell and Wild』

 悪魔の兄弟、ウェンデルとワイルドの活躍が描かれるダークファンタジーということで、これまでの作品が好きな人にもしっかり刺さるであろうストップモーションアニメーション作品となっています。Netflixでの配信となるそうで、日本向けにも配信されることに期待です。2021年は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』で締めて、2022年新作『Wendell Wendell & Wild』で盛り上がる。そんなダークファンタジーライフも悪くないのではないでしょうか。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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