今年(2017年)、8月18日(金)~20日(日)の3日間(※現地時間)、アメリカ・カリフォルニア州、アナハイム市にて開催されるゲーム・『ポケモン』の世界大会、“ポケモンワールドチャンピオンシップス”(ポケモンWCS)。
世界大会では毎年使えるポケモンに制限が定められ、出場選手たちは、それに従い、パーティの構築や戦略を考えなくてはなりません。
今年設けられたルールは「“アローラ地方”に出現するポケモンのみの“ダブルバトル”」というモノ。今年20周年を迎えた、『ポケモン』には、2017年8月時点で802種類のモンスターが確認出来ます。しかし、今大会では上述のルールにより、使用可能ポケモンは約300種類と限られています。
では、この使用ポケモンが限定された世界大会に挑む、日本代表選手たちは、どんなポケモンやパーティが活躍すると予想をしているのでしょうか?
そこで、日本大会を勝ち抜き、代表選手に選ばれた、日本大会優勝者のバルドル選手と準優勝者のじーん選手にお話を伺いしました。
雨パが上位に入る可能性は十分あり得る
バルドル選手(@barudoru)は、今年の世界大会で注目を集めそうなパーティやポケモンをこう分析。
「今年のルールはさまざまなポケモンの組み合わせが活躍するプールの広い環境であり、どんなパーティが結果を出しても不思議ではないです。上位が特定の構築で偏ることはなく、スタンダード、天候、フィールド、トリックルーム、積み技系など多様なパーティが活躍するのではないかと思っています」
バルドル選手の語るように、今年のアローラダブルは、さまざまなポケモンの組み合わせやパーティが活躍するルールです。
日本大会では、予選、本戦一貫して、
ガブリアス(Garchomp)+ウインディ(Arcanine)+テッカグヤ(Celesteela)+カプ・コケコ(Tapu Koko)を使用したスタンダートな構成のGACT(ガクト)。
※WCSルールは、世界的に行われるルールなので、英語名を頭文字とした略称が多いです。
交換戦に非常に強い、ウインディ(Arcanine)、カプ・レヒレ(Tapu Fini)、カミツルギ(Kartana)を使用したAFK。
上述のAFKの対策として、ウツロイド(Nihilego)+カプ・ブルル(Tapu bulu)+ウインディ(Arcanine)で構成されたNBAなどのパーティが活躍しました。
また、ポケモンバトルでよく使われる天候を利用したパーティには、ペリッパー+ゴルダック、ルガルガン+ギガイアス等の組み合わせが強敵としてあげられます。
バルドル選手も、日本大会でペリッパー+ゴルダックの雨パーティ(以下、雨パ)を使用していました。
世界大会における雨パの立ち位置について、バルドル選手はこう語ります。
「6月の日本大会では雨パが環境に刺さっていたのもあり、勝ち抜くことが出来ました。雨パの数自体はそれほど多くないですが、対策をしておかなければ勝つのは難しいです。また、雨パの特徴のひとつとして、構築の幅広さがあげられます。その長所を利用し、事前に相手の雨パ対策を先読みした戦法を考えておけば、世界大会で上位に入る可能性は十分にあると思います」
バルドル選手が語るように、日本一決定戦では雨パに対する警戒心が薄くなっていたように感じます。
実際、記者も日本大会では、雨パが登場することはないだろうと考えていたため、バルドル選手が使用したことに驚きました。
「環境を分析する、流行するポケモンや組み合わせに対する動き方を決めておく、主要なダメージ計算を覚えておくなど、勝つためには事前の準備が何より大切と考えています。準備を万端にしておけば、大舞台での対戦でも緊張せず平常心で臨むことが出来ます」
と、勝利の鉄則を語るバルドル選手。同氏が日本大会で使用した雨パはまさに、この言葉の集大成と言えます。
メタグロスを意識したパーティ構築が勝利に繋がる
そして、じーん選手(@zeen172M)は日本大会で、カプ・ブルル+ウツロイドの組み合わせで、周囲のプレイヤーを圧倒。
日本大会で無類の強さを見せた、カプ・ブルル+ウツロイドですが、各国の代表選手たちも多様するのでしょうか?
この組み合わせについて、じーん選手はこう話します。
「カプ・ブルルはAFK(ウインディ(Arcanine)+カプ・レヒレ(Tapu Fini)+カミツルギ(Kartana))が多い環境であれば強いと思っています。日本大会ではAFKを持ってくるユーザーが半数いる予想で持ち込みました(実際はそんなにいなかったです)。ですが、世界大会では、いろいろなパーティとあたるため、必ずしもカプ・ブルルが強い環境かは分かりません。だから、おそらく増えないと予想しています」
「逆にウツロイドは自分で使っていて弱い要素がなく、グラスシードやHBウツロイド対策が非常に難しいです。そのため、世界大会で目にする機会が増えると考えています」
カプ・ブルルは立ち位置的に、対戦環境の中心というよりは、相手の強いポケモンを“対策する側のモンスター”です。
そしてウツロイドは、本当に対策がしづらいポケモンです。ですが、ウインディやカプ系に有効攻撃が可能、さらにトリックルームを覚えるといった器用な部分を多く持っており、何をしでかすか分からない強さがあります。そのため、じーん選手が話すように、世界大会での使用率は極めて高いかもしれません。
さらにじーん選手はこう続けます。
「パーティに関しては今年のルールでは、どれも強いと思いますが強いて言うならメタグロスです。
海外の大会や日本の大会の結果をみても上位にはメタグロスが入っていて、間違いなく世界大会でも使用プレイヤーが多いと思います」
メタグロスを使うプレイヤーが多いと話すじーん選手。では、メタグロスにはどのような対策が効果的なのか。
「メタグロス対策はバルジーナやペルシアンのように、イカサマが使えるポケモンを採用することや、おにびなど、メタグロスへピンポイントに刺さる技を取り入れることで解決します」
メタグロスは、単体でも強力であり、パーティ単位でもパワーアップが図れるポケモンです。
そのことを懸念し、多くのポケモンプレイヤーが、対メタグロスを意識したパーティを作っています。しかし、意識しすぎるとかえって逆効果になってしまうことも……。
「メタグロス対策に有効なポケモンが“メタグロス特化枠”としてしか機能せず、メタグロスが入っていないパーティに対しては5匹で戦っている様な事象が生じて選出が窮屈になってしまいます」(じーん選手)
WCSルールの試合は、手持ち6匹のポケモンから4匹を選択した4対4で行われます。
4匹選択する段階で、相手の手持ちにメタグロスがいなかった場合、ポケモンに覚えさせた技や、相手側パーティの状態によって、ピンポイントにメタグロス対策をしたポケモンが不要となるケースも考えられます。
そのため、相手がメタグロスを所有していない場合、そのポケモンを除外し残った5匹の中から4匹を選択しなくてはいけないといった、不利な状況を作り出してしまうかもしれません。
だから、ピンポイント対策をしたポケモンは採用しづらく、パーティに窮屈感を与えてしまうのです。
――バルドル選手:「これまでに出た世界大会では2014年ワシントン大会で4勝2敗、2015年ボストン大会で4勝3敗と一勝足りずにトップカット(決勝トーナメント)入りを逃しています。
そのため今年はまず、トップカットに入り、そして優勝を目指します!」
――じーん選手: 「優勝です。今年は1月からいい結果を出し続けているのでこの波に乗っていきたいです。
ちなみに1月に開催された関東グロリアでは3位、グロリア全国では3位、海外の賞金大会では2位、JCSでは2位という結果から順位が徐々に上がっています。この傾向から次は、1位なのでは? と考えています」
バルドル選手もじーん選手もやはり、世界大会の目標は優勝! 世界各地から強豪プレイヤーの集うアメリカで、彼らは果たしてどのようなポケモンバトルを見せてくれるのか!?
ポケモンWCS2017年は現地から生中継がされます。
皆さんには、この機会を逃さずぜひ、お二人の熱きポケモンバトルの様子を視聴、そして応援していただきたいです!
ポケモンワールドチャンピオンシップス2017
⇒http://blog.nicovideo.jp/niconews/35729.html
(Interview&Text/おみ Edit/佐倉璃紗、 水野高輝〈Executive Editor〉)
(Special Thanks/バルドル選手@barudoru、じーん選手@zeen172M)
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©2017 Pokémon. ©1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
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