“ポケモン映画”に関して、私が前から口を酸っぱくして言っている「ポケモン喋らせちゃう問題」というものがあります。

ポケットモンスターことポケモンは、例外のシリーズは存在するものの基本的にどのゲームシリーズでも、人間の言葉を喋らない設定となっています。

これはTVアニメシリーズも同様で、ピカチュウは「ピカチュウ」としか喋らないし、ソーナンスは「ソーナンス」としか喋りません。

すが、ある条件下でこのルールが破られることがあります……それが劇場版『ポケモン』です。

ポケモン キミにきめた!
画像引用元:「劇場版ポケットモンスター キミにきめた! 」ミュージックコレクション ヴァリアス (アーティスト) 販売元:ソニー・ミュージックダイレクト

劇場版ポケモンシリーズでは、ポケモンが度々喋り出すことがあるのですが、私はこれが非常に許せないのです。

そんな中、今年の映画『劇場版ポケットモンスターキミにきめた!』が公開され、この問題に“大きな動き”がありました。

今回はその“動き”について語っていきます。

なぜか映画になると喋り出すポケモン達

これまで劇場版のポケモンシリーズでは、数多くのポケモンが喋りだしました。

その歴史の始まりは劇場版第1作『ミュウツーの逆襲』に遡ります。

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 
画像引用元:劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 完全版/ピカチュウのなつやすみ【劇場版ポケットモンスター新シリーズ公開記念・期間限定生産商品】 [DVD] 販売元:メディアファクトリー

ミュウツーはほかのポケモンとは異なる“人工のポケモン”という設定があり、不自然でない喋る理由がありました。

また初の劇場版ということもあり、喋るポケモンの登場がより作品をリッチに見せる効果もあったと思います。

ですが、その特異性の価値を下げるかのように、それ以降の劇場版シリーズでも次々にポケモン達が喋り出します。

ヤドキング、ルギア、シェイミ、ゾロア、ケルディオ、昨年のボルケニオンなどなど……人間と言語で交流し合う設定なんてないはずのポケモン達までもが、「テレパシー」などといってご都合主義的に人間達と喋り出しました。

今ではすっかり「劇場版ではポケモンは人語を使っても良い」かのような、ルールが成立しているかのように思える状況です

なぜポケモンを喋らせて欲しくないのか

そんな喋り出すポケモン達に、“ポケモン喋らせちゃう問題”として、わざわざ問題視しているのにもワケがあります。

TVアニメの『ポケモン』シリーズでは、ポケモンを喋らせることなく、ポケモンと人間の営みを描いていてきており、私はそこに価値があると思っているからです。

TVアニメでは、人間とポケモンという言葉が通じない異種族同士が共生し合う世界を見事に描いてきているのに、なぜわざわざ劇場版になると、突然人語で伝え合い、ポケモンが設定を説明し出してしまうのか……。

TVアニメで見事成立させ守り続けているルールをなぜ劇場版で破ってしまうのか……私はその特徴にあまり価値を見出すことができませんでした。

もっと厳しい言葉で言うと、このルール違反は非常に「ずるい」と思っています。

劇場版で何の脈略もなく人語を操るポケモン達を、私はかなり否定寄りで見ておりました。

そんな中の『劇場版ポケットモンスターキミにきめた!』

そんな流れをふまえた上で、今年も劇場版ポケットモンスターの季節がやってきました。

今年の映画『劇場版ポケットモンスターキミにきめた!』は、果たしてどうだったのか。

結論から言って素晴らしかったです!!

作品に感動したとか、演出が良かったとかいろいろ言及するところはあるのですが、まさにこの「“ポケモン喋らせちゃう問題”に対してもダイレクトに答えをぶつけてくれる」まさかの映画でした。

ひとまず、人工的に作られたので器用に言語を操るポケモンが“また”登場するようなこともなければ、「テレパシーだ!」みたいな展開で喋りだすポケモンも出てきません。

それだけでも私は満足なのですが、実は作中、それ以上の“あるマジック”が用意されていたのです。

今でこそ当たり前となった仲良し同士の、サトシとピカチュウの絆を改めて始めから描きなおしたこの映画は、まさにTVアニメシリーズで描いてきたようなポケモンとの共存世界を映していました。

人工的な理由で言語を操るポケモンもいなければ、テレパシーを使って喋りだすポケモンもいない……そんな中でもしっかり人間とポケモンの絆を描けることを『劇場版ポケットモンスターキミにきめた』はまさに体現してくれていたのです。

そのうえで用意された“あるマジック”。非常に有意味なものだと思いました。

あえて、今年の映画で用意されている「具体的な何か」を明かさずに書きましたが、それが私にとっては『ポケモン喋らせちゃう問題』への決定的な“アンサー”でした。

多くの人に一体どんな答えが待っているのか、ぜひ劇場に確かめに行ってください。

今年のポケモン映画は間違いなくこれまでとは違う一品です!

2017年、『ポケモン喋らせちゃう問題』は終結した・・・私にとって本作はそんな風に思える映画でした。

(Edit&Text/ネジムラ89)

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ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」

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