2018年2月24日より公開をスタートしたアニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』がいい!
本作は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』で脚本を務めていた岡田麿里さんの初監督作品。
これまでの現代を舞台にした若者の青春劇とは一線を画した、ファンタジーな世界観に衝撃を受けましたが、驚くのはまだ早く、そんな幻想的な世界を舞台にしながら、母と子や、人の生き死に、そして戦争など現代を生きる我々も様々な想いが巡るような重厚な物語となっていました。
そんな作品の中で今回私が言及したいのは……エンドロールです。
一体どんなエンドロール?
アニギャラ☆Zでは、度々アニメーション映画のエンドロールに関するレコメンドの記事をあげているのですが、今作、『さよならの朝に約束の花をかざろう』についても良エンドロールとしてぜひとも挙げたくなる作品だったのです。一体どんなエンドロールかといえば、実は織機が織物を編む背景に、淡々とエンドロールが流れるだけなのですが、これが良い。私は非常に沁みるエンドロールだったのです。
『さよ朝』のキーアイテム<ヒビオル>
この映画ではこの織物が重要なアイテムのひとつとして登場します。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』に登場する主人公マキアを始めとしたイオルフという種族は、非常に長い寿命を持ち、何百年と生きる不思議な種族。そんなイオルフの習慣のひとつが<ヒビオル>という織物です。イオルフは、その長い人生の中で起こったことを日記の様に織物に編み込んでいき記録に残していきます。本編でもたびたび、長い歴史や過去の出来事として象徴的に扱われるアイテムなのです。そんな織物を織る映像がエンドロールにまで用いられているわけですから、そこに意味がないわけありません!
エンドロールと共に織る意味
ゆっくりと一定のリズムで織り込まれていく<ヒビオル>。そして、それと共に流れゆくエンドロール。この映像には少なくとも2つの意味が乗っているように思いました。
ひとつは時間。まさに、今この映画を観ている一瞬一瞬に刻まれる時間を垣間見ているような、不思議な感覚を与えてくれました。今作のテーマのひとつでもある時の流れを可視化させてくれて、気の利いた演出となっています。
そしてもうひとつは、この映画もまたヒビオルの様なものであることを示しているのではないでしょうか。
映画は、たくさんの製作陣の努力や気持ちが少しずつ少しずつ重なって生まれます。それは、まさに織物のよう。それぞれの糸が重なり合って、ひとつの模様を作り出す様は、まさに映画作りにも通じるものがあります。
そう思うと、流れゆく制作陣の一人一人の名前がその糸の編み込まれる一瞬一瞬に思えて、非常に感慨深い思いを感じました。エンドロールを眺めるひと時として、その他の映画のエンドロールを観ている時よりも、とても特別な時間に感じました。
――流し見しがちなエンドロールをちょっとした演出ひとつで、想いを巡らすものにしてくれた『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、本編もさることながら、エンドロールもまさに見事の一言です。
2018年、マチガイナイ作品のひとつである『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、エンドロールもマチガイナイ一本でした。ぜひ鑑賞の際はエンドロールの最後の最後まで見届けてあげてください!
(Edit&Text/ネジムラ89)
映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式サイト
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