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 なにを隠そう、私ネジムラ89、シュガー・ラッシュがオールタイムベスト級に大好きで大好きでしょうがない映画だったりします。

 そんな『シュガー・ラッシュ』の続編『シュガー・ラッシュ:オンライン』が、2018年12月21日(金)ついに日本公開を果たしました。前作が大好きすぎるために、その続編ということで、思い出を汚されないか心配でもあったりと複雑な気持ちを抱えての鑑賞となったのですが……結果的にどんな感想を持ったかをここに残したいと思います。一言で言って壮絶な体験でした。

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前作ぶちこわしの問題作!?

シュガー・ラッシュ:オンライン

画像引用元:シュガー・ラッシュ: オンライン (オリジナル・サウンドトラック) 販売元:ウォルト・ディズニー・レコード

 前作が大好きな身として、本作『シュガー・ラッシュ:オンライン』の感想としてはっきり言っておかなければいけないことがあります。それは、申し訳ないですが、本作が続編と言ってよいのか正直難しい作品であるということ。

 もちろんキャラクターの性格や、特性は前作からしっかり引き継がれているし、ゲームの中、もとい電子世界のキャラクターだからこそできる物語になってはいます。ですが、映画で描かれている内容は前作『シュガー・ラッシュ』とは全く相反するテーマのものになっているからです。

 前作『シュガー・ラッシュ』は、ラルフが自分自身が置かれている境遇に嫌気がさして、その運命に逆らって、禁忌であるはずの別のゲームへの侵入を試みてしまうものの、そこで出会ったヴァネロペとの出会いによって、自身の運命を見直すことになる映画でした。

 一方、今作『シュガー・ラッシュ:オンライン』ではなんとヴァネロペが別のゲームへの侵入する姿が描かれます。しかも、前作では禁忌とされていた行為であるはずが今作では一切そこへの言及はされません。それどころか、むしろ、今まで平凡で変化のない仕事を続けてラルフとの友情を取るか、変化のある自分の夢の道を取るかのような、肯定的な進路の一つとして描かれています。

 捉え方によっては、この映画は前作のラルフが得た教訓を台無しにするような映画です。宿命を変える選択肢を選んだラルフや、ターボといったキャラクターが前作では咎められたのに、今作のヴァネロペはなにが違うのか? なんだかヴァネロペだけは特別扱いするようで、本作に対して抱く困惑の気持ちは否めませんでした。

もはやこれは恋愛映画といっても過言ではない

 ただ、本作を続編と位置付けず、設定だけを用いた別の物語ととらえると、これはこれで自分に鮮烈な衝撃を残してくれる映画でした。前作が私の大好きなゲーム映画というジャンルのベスト級だとしたら、今作は私の大好きな恋愛映画というジャンルのベスト級映画でした。この映画の鑑賞終盤にはもはやこの映画を恋愛映画として観ている私がいました。

 というのも、本作『シュガーラッシュ:オンライン』は献身的にヴァネロぺに尽くすラルフと、そのラルフとの共生を取るか、そのラルフと離れて夢を追うかで揺れるヴァネロペの二人の関係性の行方が描かれる映画だからです。

 映画上では友情として描かれている二人の仲ですが、2人の関係は単純な友達の域を超えて、毎日毎日を一緒に過ごすほど私生活を共にするパートナーの域です。それぐらいかけがえのない2人の関係が、存続するか破綻をするのかを描いているのであれば、それはもはや友情の物語ではなくパートナーとの関係性を突き詰める“恋愛映画”だと思うのです。

 献身的に身を粉にしてヴァネロペに貢献しようとするラルフが健気でもある一方で、その執着心は本人が映画終盤で気づくように確かに滑稽です。一方のヴァネロペも停滞した日々よりも自分の夢を追おうとする姿勢には応援したくなりますが、ラルフの気持ちを無下にしてまで自分のわがままを押し通そうとする姿には、もっとラルフのことを思って欲しいという気にもなります。2人の生活のために尽くすラルフと、夢を追うために関係を変えようとするヴァネロペ。難しい恋愛の課題を解き明かすような映画として楽しむことになった作品でした。

現在のディズニーのプリンセス観とは

 そしてそんな恋愛映画感に拍車をかけるのが、本作がヴァネロペという女性のキャラクターの生きざまを描こうとしている点です。

 本作では多数のディズニープリンセスが登場します。そんなディズニープリンセスたちは、男性の到来によってハッピーエンドを迎える象徴のようになっていることに不満を述べるシーンが用意されています。それは実際にディズニーが、既存作品に放たれた批判の多くと一緒です。王子様を待つだけが女性の幸せなのか……なんどもディズニーが責められた批判ですが、改めて本作ではその意見に2018年時点でのディズニーのアンサーが描かれます。

 今までのプリンセス同様、ミュージカルシーンで気持ちを吐露するヴァネロペですが、その自分を見つめなおすきっかけは道端の水たまりだし、歌う夢は悲惨な街を舞台にしたスローターレースという世界への到来です。その大きな障害となるのは、今までだったら王子様ポジションであった自身を救ってくれた男性との生活です。演出としてのなぞり方こそいままでのディズニープリンセスと同じですが、その中身は一線を画すどころか、まったく今までのディズニープリンセスと真逆の夢を願うヴァネロペを描いています。

 王子様と結ばれるだけが女性の幸せではない。そんなディズニーのアンサーがこの「シュガー・ラッシュ:オンライン」には描かれています。そういう意味でも、今作で描かれるラルフとヴァネロペの関係には、これまでのディズニー作品の王子様と王女様の関係が大きく絡んでいると言えざるを得ないのです。

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ラストシーンのラルフの顔に涙

 そう思うとラストのラルフの表情には涙せざるを得ません。

 ラルフはヴァネロペの夢を応援するために、ヴァネロペをスローターレースに残すことを決意します。スローターレースのシャンクとはそれとない関係でしかないところがまたリアルで、形としてはヴァネロペのパートナーの座をシャンクに奪われたようにも写ります。最後のラルフの悲しい笑顔は、恋に破れた男の顔に映ってしょうがありませんでした。

 それでもなおヴァネロペとの関係をまったく断たず、出来る限りをなお尽くそうとするラルフの一途な姿は哀れでもありますが、どうにか幸せになる方法がなかったのか思い悩まされます。題材的に自立していく女性を描くのに『シュガー・ラッシュ』のヴァネロペが適任だったことは理解できるだけに、その犠牲となって幸せな日々を失ってしまったラルフには同情の気持ちも抱いてしまいます。

 この結末を迎えて、私が望むべきはラルフにとっての新たな答えが見つかること。まだまだラルフにとってのより幸せな生活があるとするのであれば、実は『シュガー・ラッシュ:オンライン』の更なる続編があって然るべきなのかもしれません。ラルフが悲しい笑顔で終わるような結末でない続編を、『シュガー・ラッシュ』のファンとしてここに希望させていただきます。

(Edit&Text/ネジムラ89)

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シュガー・ラッシュ
©Disney

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