関西で驚くべき映画の上映が実施されます。

 一風変わった上映編成や企画でも話題の兵庫県の映画館・塚口サンサン劇場にて、2022年1月28日(金)から2月3日(木)まで『ビーストウォーズII(セカンド)ライオコンボイ、危機一髪!』(1998)と『超生命体トランスフォーマー ビーストウィーズメタルス コンボイ大変身!』(1999)の二本立て上映が実施されるというのです。

 実はこの上映、これを逃したらいつあるのかわからないほどの貴重な機会。というのも、実はビーストウォーズシリーズには複数の劇場版作品が存在するのですが、そのどれもが現在視聴困難作品なのです。

◆現状プレミア品!『ビーストウォーズII(セカンド)ライオコンボイ、危機一髪!』

 今回塚口サンサン劇場で上映されるプログラムは独自のプログラムとなっており、当時の上映形態とは上映編成が異なる状態での上映となっています。まず『ビーストウォーズII(セカンド)ライオコンボイ、危機一髪!』は1998年の年末に“映画版ビーストウォーズスペシャル 超生命体トランスフォーマー”と題して上映された3本立てプログラムの中の一つです。

 もともと『ビーストウォーズII(セカンド)』とは、1998年4月から1年近く放送された『ビーストウォーズII 超生命体トランスフォーマー』というセルアニメとして日本で制作されたTVアニメシリーズ。

 ある惑星に不時着し、現地の動物をスキャンして動物の力を手に入れたライオコンボイ率いるサイバトロンと、戦闘機や戦車へと変身できるガルバトロン率いるデストロン軍の戦いが描かれる作品です。ただ、劇場版となる『ビーストウォーズII ライオコンボイ、危機一髪!』では同じタイトルを冠していながらも、TVアニメの流れに単純に当てはめられる内容ではなく、どこかパラレルワールド的な立ち位置にある作品となっており、中でも前作にあたる『ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー』の主役であるコンボイが、ライオコンボイと共演するという点も目玉となる作品になっていました。

 本作は、1999年に「ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマーSPECIAL」として同時上映された『激突!ビースト戦士』『ビーストウォーズメタルス』の2本と共にDVDに収録されたのですが、現在はプレミア品となっており、映像配信サービスなどでの配信がされていないことから視聴が困難な状況にあります。

◆視聴困難ぶりでは上をいく『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス コンボイ大変身!』

 一方、もう一つの上映作となっている『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス コンボイ大変身!』は、『ビーストウォーズII ライオコンボイ、危機一髪!』公開の翌年、1999年の夏休み映画として上映されました。

 ビーストウォーズシリーズの3本立てだった前年とは違い、同時上映作品には『小さな巨人ミクロマン』『スーパードール★リカちゃん』といった当時TV放送されていたアニメ作品と合わせて“’99夏 東映アニメフェア”内の一つとして、劇場上映されました。

 1999年秋に放送開始されるTV番組、『ビーストウォーズメタルス超生命体トランスフォーマー』に先駆けて、一足先にビーストウォーズの最新作として劇場公開を果たしました。

 日本制作だった『ビーストウォーズII』に対して、今作はカナダ制作の作品で、劇場版に当たる作品が存在しないため、TVシリーズのエピソードを抜粋し、劇場公開用に編集した日本独自のエピソードとなっています。

 

 日本独自と言ってもこの『ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー』シリーズは、パロディやギャグを豊富に盛り込んだ日本独自の吹き替えでも有名な作品であり、劇場版だけでなく、そもそもの作品自体が日本の独自性が強いシリーズです。それもあってか、今なお根強い人気を誇る作品なのですが、実は今回劇場公開される『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス コンボイ大変身!』は観たことのない人も多いのではないかという貴重作品。公開の翌年にVHSでのソフトリリースを果たして以来、DVDやBlu-ray化されないまま現在に至ります。

 映画の内容は、本来TVアニメシリーズの17話にあたるはずだったエピソードとなっており、TVアニメ同様、自由なギャグ満載の内容なので、当時TVアニメだけを追っていた人には新規エピソードとして楽しめる内容になっています。需要はあるはずなのに、視聴困難となっているのが惜しい映画なので、この貴重な上映の機会をぜひ逃さないでおきたいところです。

◆注目作はビーストウォーズだけじゃない?

 ちなみに今回なぜ塚口サンサン劇場で、ビーストウォーズの上映が決まったのでしょうか。実は2022年1月〜2月にかけて塚口サンサン劇場では、“岩浪さんの音を聴かせて”と題して、現在も多くのアニメーション作品で音響監督を務める岩浪美和さんの作品を上映する企画を実施中だからです。『ビーストウォーズII ライオコンボイ、危機一髪!』『超生命体トランスフォーマー ビーストウィーズメタルス コンボイ大変身!』もどちらも当時岩浪美和さんが音響監督を務めた映画だったことから、今回のラインナップに入ることになりました。

 1月末以降も、企画内のプログラムとして、『羅小黒戦記ぼくが選ぶ未来』(1月28日〜2月3日)、『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』(2月4日〜2月10日)、『ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア』(2月11日〜2月24日)といった作品が上映され、これらについては岩浪さんが直接、映画館に足を運んで音響調整をしたという環境で鑑賞ができる催しとなっています。

 貴重なビーストウォーズの映画ももちろんながら、実はこれらも貴重な鑑賞体験となっている点は忘れないでおきたいところ。

 次にいつあるかわからない独自の機会を提供してくれる塚口サンサン劇場には、ビーストウォーズファンとしても映画ファンとしてもぜひ応援していきたい!時勢的に映画館も大変な時期だからこそ、映画を観に行って少しでも支えていきたいですね。もちろん、マスクやアルコール消毒は忘れずに。

〈文/ネジムラ89〉

(サムネイル引用元:超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズⅡ(セカンド) DVD-BOX 販売元:ビデオメーカー ※画像はイメージです)

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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