典道は死んだ? どうなってしまったの?
あのラストシーンは、典道が劇中の出来事を経て、今までの自分とは違う存在になったことを示しています。
自分の気持ちに素直になれなかったり、とっさの場面で行動できなかったりと、まだまだ子供だった典道。
ですが、何度も繰り返した時間の中でついになずなと一線を越えた世界に到達します。
その時点で、今までの未熟な典道は死に、彼は“大人”の典道となります。
その結果、典道は今までの典道ではなくなってしまった――故に今までの典道は居ないことがラストシーンで示されていたのです。
だから、典道や祐介よりも一足先に大人の世界に足を踏み入れている存在のなずなは先にあの教室から出ていくべき存在であり、祐介は中学生にもなってまだ「うんこ」を連呼してしまう子供なので、最後もあの教室に残っていたわけです。
典道の消失は“典道が大人になった”ことのメタファー(隠喩)だったと言えます。
典道が最後に居ないこと自体は不穏な感じもしますが、寓話とは吉夢のように、起こっている出来事とは別の次元のメッセージが隠されていたりするもの。
なずなと典道は、駆け落ちに成功したのかもしれないし、異世界で仲良く暮らしているのか、行方の具体的な結果や良し悪しは示されてはいません。
ですが、この映画では間違いなく典道が今までの自分ではなくなったことは確かなこととして示されているのです。
(Edit&Text/ネジムラ89)
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