今年1月よりTOKYO MXなどで放送が開始された、ミライアカリ、電脳少女シロ、月ノ美兎、田中ヒメ、鈴木ヒナ、猫宮ひなたを中心に約30人以上の人気バーチャルYoutuber(以下、VTuber)が出演している『バーチャルさんはみている』。
おそらく世界初のVTuber主体のアニメということで、放送前よりインターネット上を中心に大きく話題となっておりました。ですが放送が始まってからその評価は賛否両論となっているようです。
正直に言うと、筆者も放送前はとても楽しみにしていたのですが、いざ本作を見ると、うーん・・・と感じる部分はいくつかございました。
そこで今回は、第3話までで筆者が所々に感じた「良いところ」と「良くないところ」を本作の感想を交えてご紹介いたします。
あくまでVTuber好きの一人の意見としてご覧いただければと思います!
豪華制作陣が多数参加しているのがアツい
まず『バーチャルさんはみている』が話題になった理由の一つに「豪華制作陣」があげられます。
製作元のドワンゴを主体(アニメーション制作の「株式会社リド」はドワンゴやKADOKAWAなどの5社による合弁会社)に、本作のアイデア協力に『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が関わっています。本編でVTuberが着ている制服は、まさに『新世紀エヴァンゲリオン』と同じなのです。
また、アニメの構成作家(ちゃんこさん、ふかわげんきさん、ゆーやんさん、因幡大佑さん、山崎博さん)には、人気の声優ラジオやインターネット番組の構成作家が参画されています。例えばちゃんこさんは『矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか』、『A&G NEXT BREAKS FIVE STARS』火曜日の担当で有名です。ふかわげんきさんは『早見沙織のふり〜すたいる♪』、『洲崎西』辺りが有名番組でしょうか。
この制作陣の中でも筆者が一番アツいと思っているのは、『バーチャルさんはみている』の劇伴とオープニングに、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサーでおなじみの中田ヤスタカさんが参加していること。作中、実はそこまでBGMが多くないのがちょっと寂しいのですが……。
そしてオープニング曲、「AIAIAI」を歌うのはVTuberで最も人気のあるキズナアイ。彼女の可愛らしい歌声とエレクトロダンスミュージックは絶妙にマッチしていて、何度聴いても飽きないです!
また、エンディング曲を歌っている田中ヒメと鈴木ヒナのHIMEHINAコンビによる「ヒトガタ」も、ジャニーズや乃木坂46など多数のアーティストに楽曲提供を行っている南田健吾さんが担当。かっこいいダンスサウンドとヒメヒナのハスキーボイスとキレの良い踊りは、VTuberを知らない方にも一度観て聴いていただきたい1曲になっています。
本編は個別で見ると面白いものも多い
『バーチャルさんはみている』は1本丸々で一つのストーリーというわけではなく、様々なコーナーが集まったオムニバス形式の作品となっており、それぞれにVTuber独特の個性が出ているお話になっています。
中でも異彩を放っているのは、やはり「バーチャルグランドマザー」のコーナーで出演されている、バーチャルグランドマザー小林幸子さんでしょう。
確かにニコニコ関連のイベントなどでも多く活動される小林さんですが、まさかここにも出ているのか! とついツッコミを入れたくなっちゃいます。それでいて内容は至極勉強になるお話だから、そのギャップがまた面白く感じてしまうのです。
その他個人的に面白いと思っているのは、富士葵とバーチャルゴリラのショートコーナーの「富士アオイ公園」です。二人(いや一人と一匹?)が並んだ絵のギャップと会話の流れがシュールすぎるのです。二人ともCDを出すレベルで歌がうまいのだから、もっとコーナーの時間伸ばして歌ってくれればいいのになぁとも思ってしまいます。
あとは、月ノ美兎を中心ににじさんじメンバーが出演する(と今後も思われる)「委員長、3時です。」のコーナーも面白いです。これは後にも詳しく書かせていただきますが、生放送や配信が主な活動場所になっているにじさんじメンバーだからこそ、他のVTuberと比べて安定してトークを楽しめる内容だなぁと思っています。
会話のテンポが悪い上に内容が謎である
さてここまでは筆者が『バーチャルさんはみている』に対して良いなと感じた部分をお伝えしました。しかし、ここからは少々批判的な内容となりますのでご注意ください。
まず本作の中で一番違和感を感じたのは、「会話のテンポ」と「内容が謎」というところでした。これは特に、序盤のゲーム部プロジェクトが出演している「VIRTUAL WARS」と、主演メンバーが出ている「レッツゴー!教室」が顕著な例かなと思います。
まず「会話のテンポが悪い」という点については各キャラのセリフが長い、というよりも「キャラの動きが不自然に多くさらに長い」という要素。正直、そこまで動いて話さなくてもいいのでは? と観ていて思います。モーションが長いので会話と会話の間に微妙な間が生まれてしまい、ストーリー全体がもっさりしているような印象を受けるのです。
もう一点の「内容が謎」という点についても、先述した会話のテンポに関連しているのではと思っています。
正直な話、個人的にストーリーの内容自体はなんだっていいのです。内容よりもVTuberを主体的に見ているので最初は気にはしていなかったのですが、会話のテンポがスムーズでないおかげで会話そのものが頭に入ってこない。その中で急展開の連続で「どういうこと?」と感じてしまう。最後のオチもちょっと投げやりな感覚で終わっているので、終始視聴者を置いてけぼりにしているように感じてしまうのです。
また特に、ゲーム部プロジェクトに関してはYoutubeのチャンネルで「非日常動画」を多く投稿しています。そちらも話の内容は基本ぶっ飛んでいるのですが、疾走感ある構成になっているので急展開な話になっても楽しめます。そこと対比して見ると、どうしても「VIRTUAL WARS」は見劣りしてしまうのです。
ちなみにゲーム部プロジェクトの非日常動画はこういうものです(こちらは「ケリンスレイヤー」でも出演しているヤミクモケリンが出てますよ)。
【君の名は】部長、宇宙へ往く
<PR>
それぞれVTuberとしての個性が発揮できていないように思う
もう一つ、筆者が『バーチャルさんはみている』に対して良くないなぁと感じている点は、VTuberの個性が活かされていないという点。
これは全てのVTuberが当てはまっているわけではないのですが、多くのVTuberは動画・配信では「台本はあっても決められたセリフはあまり無い」のだろうということです。
つまり、動画などで彼ら彼女らが喋っているのは「自らの頭から出たセリフ」であって、それが面白い。だからこそ多くのファンを獲得できたと言えます。
これが『バーチャルさんはみている』だと(特に「レッツゴー!教室」に関して)「決められたセリフを話すVTuber」になってしまっているのです。
モチロン、各セリフもそれぞれのVTuberの個性に合ったセリフが用意されているのだと思いますが、ちょっと悪い言い方をすると「言わされている感」があります。
特にこれを一番感じたのは月ノ美兎。
彼女は、元々生配信を主体に活動しています。だから個性溢れる言葉の使い方や会話の流れがフルに視聴者に伝わるわけです。なので、個人的に「委員長、3時です。」の月ノ美兎は面白い……に対して「レッツゴー!教室」の彼女は面白くないなぁと感じてしまいます。台本のセリフがあるとないとで面白さにものすごい違いがあるなぁ〜と。
<PR>
期待溢れる今後の『バーチャルさんはみている』
ここまでいろいろと意見を言ってきた筆者ではありますが、『バーチャルさんはみている』の今後には期待しています!
まだ第3話までしか放送されていないのでこれからまた新しい試みもあるかもしれないですし、第3話以降、皆さんが好きなVTuber が出てくるかもしれないです。そして、オムニバス形式だからこそ、今まで関わりの無かったVTuber同士の絡みが増えることもあるのでは……!?
そんな『バーチャルさんはみている』の今後には期待しかありません。筆者もイチファンとして本作の今後を楽しむとともに見守っていきたいと思います。
(Text/頭皮ぱっしょん Edit/白鳥ほたる)
COPYRIGHT ©DWANGO.Co.,Ltd. ©Lide, inc.