2018年7月13日『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』がついに公開となりました。

 今回は事前の情報ではキャラクターのディティールこそ明かされていれど、映画のストーリーにはあまり触れられておらず、いったいどんな物語が用意されているのかがわからないという、変わった挑戦の一作でした。

 長年ポケモン映画の監督を担当してきた湯山邦彦監督から矢島哲生監督へバトンタッチしたり、キャラクターデザインに『モンスターストライクTHE MOVIE』の金子志津枝さんが起用されるなど、制作陣の大幅な変革も挑戦的。挑戦づくしの今年のポケモン映画なのですが、もう一つ、注目しておきたい挑戦ポイントがあります。それは、『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』における劇場配信のシリーズ切り問題です。

2018年ポケモン映画ではゼラオラを劇場配信!

  ポケモン映画シリーズでは2007年公開の『ディアルガVSパルキアVSダークライ』以来恒例となっている劇場特典があります。それがポケモンのゲームデータ。ポケモンの最新シリーズのゲームを劇場に持ってくると、通信配信でゲームで活躍するポケモンのゲームデータが手に入るという来場者特典が用意されています。

 今年の『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』でもご多分に漏れず劇場配信ポケモンが用意されています。今年の配布ポケモンは新登場ポケモン・ゼラオラ。これまでのゲームシリーズにも登場せず、今回の劇場版にて初めてその姿が明らかとなったポケモンです。映画でゼラオラの活躍を観た後、ゲームでもゼラオラの活躍を楽しむことができるようになっているのです。

「ポケットモンスターサン/ムーン」ではゼラオラを受け取れない!?

  ただ、今年の『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』では、この劇場配信に関して今までなかった大きな変化がひとつ設けられています。それは劇場でゼラオラを受け取れるゲームシリーズを、最新シリーズの「ポケットモンスターウルトラサン/ウルトラムーン」のみに限定したということです。

 この「ポケットモンスターウルトラサン/ウルトラムーン」は2017年秋に発売されたポケモンの最新ゲームシリーズ。前年2016年に発売された「ポケットモンスターサン/ムーン」をブラッシュアップして新たな要素を足したマイナーチェンジ版のような一作です。

 「ウルトラサン/ ウルトラムーン」のようなマイナーチェンジ版は、ポケモンのゲームの新シリーズが発売されるたびに発売されることが定番となっており、大抵元となるシリーズとこのマイナーチェンジ版は同列扱いで同じく劇場でポケモンのデータを受け取ることが出来るようになっていました。

 しかし、今年の『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』では、シリーズで初めて劇場配信を最新のマイナーチェンジ版「ポケットモンスターウルトラサン/ウルトラムーン」限定してしまっています。「ポケットモンスターサン/ムーン」ではゼラオラを受け取ることが出来ないのです。

 これによりある問題が出てきてしまっています。

ゼラオラを受け取れないキッズが続出中?

  ゼラオラが貰えないのは「ポケットモンスターサン/ムーン」にゼラオラのデータが事前に組み込まれていないという問題があるが故にしょうがないことなのですが、それは多くのキッズにはわからない事情。これまでマイナーチェンジ版でなくとも元のシリーズを持っている人も劇場配信ポケモンを受け取ることができたので、勘違いして受け取れると思ってしまう人も多いでしょう。

 現にTwitterで「ゼラオラ」「受け取れない」のアンド検索などをしてみると、劇場で初めて受け取れない事実を知った来場者が散見できてしまうのが寂しいところ。Twitterを使っている上の年齢層の人ですら「ポケットモンスターサン/ムーン」では受け取ることができないことが認知されていない以上、キッズたちはなおさら受け取れないことを知らずに劇場に「ポケットモンスターサン/ムーン」を持っていくケースが出てきてしまうでしょう。

 ポケモン映画定番の劇場配信は、今後はマイナーチェンジ版が出た場合は、元のシリーズは配信対象外が定番となってしまうのでしょうか。子供たちはそんな最新シリーズが出るたびにホイホイ新作を買うことができないだけに、せめて元のシリーズぐらいは配布対象としてあげて欲しいですし、あわよくば、もっと前のシリーズにも何かしら恩恵があった方がユーザーにとっては嬉しいことな様にも思います。

今年の配信体制は悪例になって欲しい

  こんな記事を書いている私も実は「ポケットモンスターサン/ムーン」しか持っておらず劇場でゼラオラを受け取ることができなかった一人。今回のために「ウルトラサン/ ウルトラムーン」を買おうか迷ったのですが、なかなかじっくりポケモンをやり込む時間がないので、今回はなくなく見送りました。そんな悩んだ思い出が一つできたというだけでも個人的には十分……なんて割り切りをしていたりします。

 ただ、劇場でゼラオラを受け取る気満々でやってきたキッズが劇場で受け取れないなんて悲しい思い出が残ってしまうのは、他人事でありながらやっぱり辛い。

 配信ポケモンのシリーズ切りに関して、今年の対応はちょっと反省点として見て欲しいなぁというのが正直なところ。あくどい商法として賛否もあるポケモン劇場配信特典ですが、個人的には映画の思い出がゲームデータとして残り続けるという試みは、ポケモンだからこそ出来ることなので、ぜひ胸を張って続けて欲しいサービスだと思っていまです。

 来年はどんな対応を用意するのかは分かりませんが、どうにか一人でも多くのキッズにその体験ができるよう興行の皆様には頑張っていただきたいです。

 “みんなの物語”というタイトルでありながら、「ウルトラサン/ ウルトラムーン」を持っている子だけの物語となってしまっているなんて、ちょっと皮肉だよね、なんて思った『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』でした。

 あ、でも本編はとても楽しかったです。ウソッキーのことが前よりも好きになった、そんな映画でした。

(Edit&Text/ネジムラ89)


ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」
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