◆『白蛇2:青蛇興起』は世界観から大幅に変更!?

 前作『白蛇:縁起』では、9世紀〜10世紀にあたる晩唐の時代を舞台にした物語だったのですが、『白蛇2:青蛇興起』ではその時代感から一変!舞台にはなんとビルや車、銃といった現代的なアイテムが登場する世界観となっています。

 一体何が起こってるのかと言うと、『白蛇2:青蛇興起』では冒頭から白や青は、お坊さんである法海によって粛清を受け、青は修羅界に落とされてしまうと言うところから物語がスタートします。この修羅界こそ、現代的な建物が荒廃した状態で立ち並ぶような世界観となっており、前作まで古き良き古代中国を舞台にした武侠風の映画が一転して終末世界物の映画へと姿を変えるに至っています。前作まで1000年前を生きていた青が、いつの間にか車の運転を覚えたり、インターネットを駆使している姿はどこかシュールなものがあります。

 しかしながら流石なのは、軸としては前作『白蛇:縁起』とは変わらない点。明らかに人ではない生き物たちが入り乱れて戦いを繰り広げたり、前作でも印象的な活躍を見せた宝青坊の主が再び暗躍する立場として登場してきたりと、舞台設定こそ大きく変われど、前作を観ていた人にとっては、これは確かに『白蛇』シリーズだ!と思える体験になっています。

◆『白蛇:縁起』を追っていた人にはちょっと寂しいことも?

 一方で、中国上映からハイスピードで日本上陸を果たすことができた弊害とも言える要素もあります。ブシロードムーブやチームジョイ、そして面白映画といった企業たちが配給に名を連ねて日本語吹替版が制作された『白蛇:縁起』は、Snow Manの佐久間大介さんや、声優の三森すずこさんや佐倉綾音さん、悠木碧さんといった面々が吹替キャストに集う豪華な作品となっていました。しかし今回の『白蛇2:青蛇興起』ではNetflixで直接配信されることになったせいか、前作に引き続き登場するキャラクターについても吹替キャストが一新される事態となっています。安心して欲しいのは、渡辺広子さんや清水理沙さん、新井里美さんなど変更後のキャストもプロの方が演じられているので、大きな違和感を感じるなんてことはないのですが、それでも少し寂しさは感じられます。

 海外アニメーションの続編がDVDやBlu-rayでの直接販売されるケースでは以前よりキャスト陣が変更されるケースは多々ありましたが、映像配信サービスが盛んになった現在でも同様の現象が起こるのは興味深いです。ましてや『白蛇:縁起』は日本でもヒットし、ロングラン上映を果たした映画。日本でも続編が劇場のスクリーンで観られるのでは?と思っていた身にとっては、Netflixでの配信限定となってしまったことには別の寂しさもあります。

 スクリーン映えすること間違いなしの、前作に負けないスケールのアクションの連べ打ちとなっている『白蛇2:青蛇興起』。なんらかの機会に日本の映画館でも観られる機会を作って欲しいところです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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