◆『フラ・フラダンス』が秘めた顔その2・アイドル映画

 『フラ・フラダンス』はさらにもう一つ、隠された顔を持っている!

 それがアイドル映画としての顔。あくまでも、日羽たちはダンサーであって、アイドルではないのですが、ダンスで観ている人を笑顔にするという点では、ある意味アイドル。しかも、5人でひとチームとなっていたり、それぞれ尖った個性を持っている点では、まさに昨今のアイドルアニメと同じ文脈で語れる魅力を持っています。

 何を隠そう今作で監督を務めている綿田慎也監督は、『劇場版アイカツスターズ!』などでも監督を務めている人物。個性豊かな女の子たちが踊って活躍する作品という意味では、制作経験も豊富なわけです。

 そんな縁もあってか、『フラ・フラダンス』を見事な広義な意味でのアイドル映画としての顔を持たせることにも成功しています。綿田監督がいかにしてフラダンスシーンを我々に“魅せて”くれるのか。そんなダンスシーンにも注目です。

 ちなみになんと『フラ・フラダンス』の応援大使に『アイカツ!』シリーズの星宮いちごちゃんが本当に就任しています。実は『フラ・フラダンス』のキャラクターデザインを手がけているやぐちひろこさんは、『アイカツ!』でもキャラクターデザインを担当。そんな縁もあってかまさかのコラボが実現しました。

 ――お仕事映画であり、チーム物映画でもあり、観光映画でもあり、アイドル映画でもある。もはや、それだけ聞くと「そんな映画作れるのかよ」と思ってしまうわけですが、『フラ・フラダンス』はそれが作れてしまっているわけなのです。

 さらに言えば、恋愛映画的な要素や、震災を踏まえた背景を携えた作品でもあったりと実は、今回紹介した以外の視点も持っていたりと、もはや『フラ・フラダンス』はいくつ顔を持っているのかわからないぐらいに見所が詰まった映画。年末に入り人気シリーズの最新作などがどんどん上映されている中ではありますが、この未知数とも言えるポテンシャルを秘めた『フラ・フラダンス』をぜひ見逃さないように注意が必要です。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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