10月より「月刊アクション」で大好評連載中の漫画、『うちのメイドがウザすぎる!』のアニメ放送がスタートしました!

 『うちのメイドがウザすぎる!』は、ロシア人の血を引く小学2年生の高梨ミーシャと、幼女好きで元自衛官の家政婦、鴨居つばめの日常を描いた百合コメディ作品。

 そんな本作ですが、どんな百合要素が含まれ、どのような経緯で生まれたのでしょう?

 今回の『百合きゅーぶ』には原作者の中村カンコ先生にご登場いただき、『うちのメイドがウザすぎる!』のアニメの見どころについてはモチロン、作品が生まれたきっかけ、百合の魅力についてなどを語っていただきました!

『うちのメイドがウザすぎる!』
『ウザメイド』1巻
(c) 中村カンコ/双葉社
 母を亡くし父と暮らす小学2年生の高梨ミーシャの家にやってきた新人家政婦、鴨居つばめは元自衛官!! しかもマッチョで三度の飯より幼女が好き!? そんなつばめをウザがってミーシャは彼女をなんとか遠ざけようとするが、つばめはあの手この手を使ってミーシャに急接近しようと暴走する……。

まさか本当にアニメ化するとは思わなかった。この連載が打ち切られたら、刺身の上にタンポポを乗せる仕事を探すつもりだった

 ――このたびは『うちのメイドがウザすぎる!』のアニメ化おめでとうございます。本作がアニメ化されることはご想像されていましたか?

 中村カンコ先生(以下、中村先生):どうもありがとうございます。今までの連載が1巻で打ち切り→2巻で打ち切りと続いていて、今度は3巻を出せれば御の字かな〜と思っていたくらいなので、アニメ化なんてとてもとても……。というかこんな「初潮を過ぎた子には興味ない」とか宣言している漫画が公共の電波に乗っていいのかと今でも思っています……。

 ――アニメ化が決定した時の心境を教えていただけますか?

 中村先生:最初に企画書をいただいた時には、単純に企画書提出のノルマ埋めで選ばれたと思っていたので、ぬか喜びなんてしないぞ! と思っていました。企画が流れた時の心の防衛のために……。本当に決まった時もそんなに実感はなかったです。じわじわと時間をかけて、やったー! という気持ちになりました。

 ――当初からアニメ化は目標だったのでしょうか?

 中村先生:まさかまさか。この連載が打ち切られたら、刺身の上にタンポポを乗せる仕事を探すつもりでした。

 ――TVアニメ『うちのメイドがウザすぎる!』の見どころを教えていただけますか?

 中村先生:本当にもったいないくらいのクオリティで作っていただいていて、よく動くとか声優さんの熱演とかかわいい表情とか個人的な見所はたくさん挙げたいのですが、ひとつ挙げるとすれば、つばめの愛が暴走してホラー調のBGMが流れるシーンです。

 ――アニメで「ここはこうしてほしい」などの希望は出しているのでしょうか?

 中村先生:つばめはいわば幼女好きのロリコンなんですけど、ミーシャに対して性的なセクハラはしないようにお願いしています。ピュア百合なので。写真を撮るにしても、寝顔はOKだけど着替えはNGとか。寝顔もダメなのでは……という気もしますが。ミーシャはまだまだ小さいので、つばめは守りたい! 愛でたい! という気持ちで動いています。自分のことをロリコンだと思っていない(性的な目で見ていないので)、厄介なタイプのロリコンです。だから、他のロリコンには厳しいんですよね。

うちのメイドがウザすぎる!_キービジュ
(c) 中村カンコ/双葉社・うちのメイドがウザすぎる!製作委員会

最初のシーンが思いついたら、そこからワーッとキャラクターが動き出す

 ――『うちのメイドがウザすぎる!』を描くに至ったきっかけや経緯を教えていただけますか?

 中村先生:今は「月刊アクション」で連載させて頂いていますが、『うちのメイドがウザすぎる!』の初掲載は「ピュア百合アンソロジー ひらり、」という新書館さんの百合専門アンソロジーでした。新書館さんの別の雑誌でリレーエッセイ(1ページのエッセイ漫画を漫画家さんが友人知人にリレーで回していく企画)を描いたご縁で、「ひらり、」に描いてみませんかと声を掛けて頂いたのがきっかけです。百合は嫌いじゃないですけど、特別造詣があるわけでもないので、そんな私でもいいのか……? と思ったのですが、先方が「百合が好きじゃない人が描くからいいんですよ〜」と言って下さったのを、そっかー! と真に受けて、ひねり出したのがこの作品です。

2話まで描いたところで「ひらり、」が休刊となったので、その後は宙ぶらりんの状態でした。

 ――そこから「月刊アクション」にて連載が始まった経緯がとても気になります!

 中村先生:双葉社で描いていた『しょーがくせれぶ』も終わって、新しい企画もいくつか準備していたんですけど、なかなか通らなくて、その時の双葉社の担当さんに「前にこういうのも描いてたんですけど」となんとなく『ウザメイド』を見せたら「これを連載しましょう」と言ってもらえて、あれよあれよと「月刊アクション」で連載が始まりました。

「ひらり、」でお話を頂いた時には単行本一冊で終わる予定で描いていたので、まさかこんなに続いた上にアニメになるとは思ってもおらず、なかなか数奇な運命を辿った作品だと思います。あの時の打ち合わせに『ウザメイド』を持っていかなかったら、今頃は刺身の上にタンポポを乗せていました。

 ――『うちのメイドがウザすぎる!』を製作する中での一番の楽しみを教えてください。

 中村先生:基本的に私は何も考えないで生きているので、ネームを作る直前まで打ち合わせでの「今回は旅行の話」とかフワっとしたテーマしかない時が多いのですが、最初のシーンが思いついたら、そこからワーッとキャラクターが動き出して、いつの間にか話がまとまります。それを提出して、担当さんに「おもしろかった」と言ってもらえる時が一番楽しいというか嬉しいかもしれません。書き上げるまで、これちゃんと1本分になるかな〜という不安でいっぱいなだけに……。なので、ネーム作業自体はすごい苦手なんですけど、達成感はひとしおです。

 ――お気に入りのキャラクターは?

 中村先生:みどりんです。基本的にダメな大人で不器用なんですけど、一番乙女な性格なのがかわいいかなと思います。

 ――キャラクター設定においてモデルになった人物はいるのでしょうか?

 中村先生:モデルというか、ある程度の私の主張はつばめの台詞に潜ませています。幼女には白いワンピースと麦わら帽子が至高にして究極……。

あとミーシャのマイナス思考(友達の誕生日プレゼントを選ぶのに考えすぎてしまうところとか)やインドアなところも自分が多少入ってます。私自身は残念ながら全然美幼女でもムキムキでもないですが……。自分を切り売りしているような作品なので、この連載終わったらまじタンポポだなと思っています。

 ――お気に入りのエピソードを教えてください。

 中村先生:ええ……なんでしょう……。コレ! と言ったところは特にないのですが、強いて言うなら1話のつばめが電柱からミーシャの家を覗いて、目が合った瞬間に大喜びで手を振ってるところですかね。あそこでこの漫画の方向性が決まった気がします。その後、みどりんも電柱を踏襲できたので、3人目が来る前にあの電柱は撤去した方がいいと思います。

うちのメイドがウザすぎる!_1巻
(c) 中村カンコ/双葉社

 ――漫画を製作するうえでこだわっている点はありますか?

 中村先生:他の漫画家さんに怒られるんじゃないかと思うくらい意識が低いので、特別こだわりがなくて……。それなりに仕上がって見えれば、それで……。すみません……。

女の子にときめいたりとか恋愛感情へいく細いラインの上を綱渡りしているような揺らぎが美しくてトオトイ

 ――中村先生が影響を受けた作品を教えていただけますか?

 中村先生:大学生の頃に初めて、しりあがり寿先生の『ヒゲのOL薮内笹子』、『流星課長』等のギャグ作品集を読んで、すごく衝撃を受けました。漫画って、ここまで自由でくだらなくていいんだ! と目から鱗が落ちた気分でした。笹子が業界人が集まるバーに行って、大物プロデューサーの目に止まろうと、トイレから出た瞬間に「うわーい おしっこいっぱい出た!」と叫ぶシーンがすごく記憶に残っているのですが、何故そこをそんなに覚えているのかはよくわからないですね……。他にも面白いシーンいっぱいあるのですが……。

絵の方は色々いらっしゃるのですが、多分かわぐちかいじ先生に一番影響を受けたと思います。鼻の頭に線を入れるのはその名残です。『ウザメイド』は女性キャラが多くて鼻の穴すらないので、機会はあまりないのですけど。

 ――中村先生と「百合」との出会いは?

 中村先生:百合だ! とちゃんと意識したのは『セーラームーンS』のみちるはるかだと思います。一見男性的なはるかの方が受っていうのが、それまでの自分の中にないものだったので新鮮で、同人誌も結構買いました。セーラームーンで一番好きなのはほたるちゃんなんですけど、カップリングだとみちはるですね……。

 ――中村先生にとって「百合」とはどのような存在なのでしょうか?

 中村先生:女の子同士って男性よりも日常的に距離が近い印象で、特に恋愛感情なくても手を繋ぐし、一緒にトイレに行ったりとかキャッキャッウフフしてるんですけど、そんな日常の中で、女の子にときめいたりとか恋愛感情へいく細いラインの上を綱渡りしているような揺らぎが美しくてトオトイ……とか思っているのに、全然描いているものに反映されていませんね……。

 ――「百合」を描くうえで悩んだことはありますか?

 中村先生:百合の素養がほぼないので、私の描いてるこれは百合でいいのか……? と今でも悩んでいるのですが、こうして『百合きゅーぶ』さんにもインタビューしていただけるということは大丈夫……? と、ちょっと自信がつきました。『ウザメイド』は百合ファンの読者の方が熱心にSNSやブログ等で推して下さったのもあって、ここまでこられたと思っています。本当にどうもありがとうございます。

 ――最後に、これから『うちのメイドがウザすぎる!』や百合作品を読んでみようという方、アニメを毎週楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 中村先生:このストレス社会の現代、頭からっぽにして幼女とのキャッキャッウフフを笑って頂けたらいいなと思って描いています。アニメも楽しい作品にしていただいていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 InterviewText/水野高輝)

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(c) 中村カンコ/双葉社・うちのメイドがウザすぎる!製作委員会

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