◆実は問題もあった?映画『五等分の花嫁』が抱えていた悩み
そもそも映画『五等分の花嫁』に関しても、一部の原作エピソードが省略されてしまうことを残念がる声があったのも確かでした。
映画の上映時間は頑張っても二時間程度。映画『五等分の花嫁』はそれを少しオーバーする136分も設けられていたのですが、TVアニメの第2シリーズ以降の原作エピソードはそこに収めることが不可能なことが明確なほどボリュームがありました。
そのため映画では文化祭から原作の結末までの内容を中心に描いており、できる限り五つ子それぞれに見せ場を設けつつも、一部のエピソードは割愛されたり簡単に描くという選択を取りました。
ただ、本作は複数のヒロインが存在する作品です。その省略されたエピソードの中には特定の五つ子にスポットをあてたエピソードなどもあり、その五つ子が“推し”だったファンは映画という尺が限られたフォーマットで完結を描く以上、我慢せざるを得ない状態でした。
そんな中、登場したのがこの新作『五等分の花嫁∽』というわけです。昨年の映画で少し我慢を感じた人もついに今年、その映像化を期待できるチャンスがやってきたわけです。昨年残念に感じた人も今回の映像化に期待して良いのではないでしょうか。
ちなみにタイトルに付いてる“∽”は、同じ図形が拡大したり縮小されていることを表す“相似”の記号。制作陣もフォーマットもこれまでとは違ったスタイルで公開される本作ですがスケールこそ違えど、これまでの『五等分の花嫁』と同じ地続きのものであることを示しているのかもしれませんね。
キャスト陣はしっかり本作でも続投しているので、久しぶりの五つ子との再会を存分に楽しみましょう。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi