おチャラけたアニメはお呼びでない! 人生の奥深さを感じさせる作品が観たい! つまり『RobiHachi』は好みでない!

 という目の肥えた方にオススメなアニメはそう、『キャロル&チューズデイ』

 『キャロル&チューズデイ』はアニメーション制作会社ボンズ20周年と、音楽制作会社フライングドッグ10周年の記念コラボ作品。かなり力の入った作品であることが窺えますし、実際のところ予想以上に入っています。

 『RobiHachi』が「晩酌用のおつまみを作りつつ片手間に観れるアニメ」だとするなら(褒めてます)、こちらはそうですね、「こだわりの紅茶とお菓子を用意してから観るアニメ」とでも言いましょうか。

 音楽への確かな知識と静かな情熱が感じられるシーンが各話に演出されており、若き日に夢を描いた経験のある方ならキュンとくること請け合いです。

 しかし残念、筆者は音楽を語れない……! 音楽の妙味を知りたい方はYouTubeの公式チャンネルを観てください……! というかアニメ観てください……!

ケレン味とリアリティの両立

Kiss Me:Hold Me Now
画像引用元:【メーカー特典あり】 Kiss Me/Hold Me Now(CD)(窪之内英策描き下ろしジャケットステッカー~10cm角~付) 販売元:フライングドッグ

 舞台は火星の大都市「アルバシティ」で、高機能のAIや一輪で走るスケボー(?)など、多少のSF設定が組み込まれています。

 しかし、街の雰囲気や人間はほとんど現代。

 しがらみから抜け出して夢を追う17歳、ネットを使いこなす青年と付いていけないおじさんなど、SF感を漂わせながらも地に足の着いた世界と人間味を構築しています。

物語を象徴する声優陣

キーボードを弾くたくましい女の子・キャロルの声は島袋美由利さん。

 お名前の通り沖縄出身で、『音楽少女』の具志堅シュープ、『はるかなレシーブ』の遠井成美など、沖縄ネイティブなキャラクターを担当してきた印象があります。具志堅ちゃんの沖縄方言は見事なので一見の価値アリです。

 「沖縄キャラといえば島袋さん!」という存在になるかと思ってましたが、ここにきて黒人ドレッドヘアーとは……。

 対する控えめギターお嬢様・チューズデイの声は市ノ瀬加那さん。

 『ダーリンインザフランキス』のイチゴ、『ブギーポップは笑わない』の織機綺などを担当しています。メインキャスト経験は少ない、これから! といった風情の若手声優さんですね。

 そして、周囲のキャラクターたちも圧巻。

 自称敏腕マネージャー・ガス役に大塚明夫さん、AIを駆使した人口音楽を作るプロデューサー・タオ役に神谷浩史さん、タオのマリオネットとして売り出される予定のモデル・アンジェラ役に上坂すみれさん、他には入野自由さんや宮野真守さんと、実績のある声優陣がしっかり脇を固めています。

 この作品を分かりやすく観る(そして、陳腐に言い換える)ならば、「シンデレラストーリー」となるでしょう。

 若手の二人が豪華俳優陣に囲まれ、ガスに育てられアンジェラと戦いタオに反発していく物語を象徴しているのです。

奇跡の7分間

 物語は、「それはまるで奇跡だった。そう、火星の歴史に刻まれることとなった、奇跡の7分間」というガスの独白で幕を開けます。その7分に向けて、すべてが収束していきます。

 つまり、この作品を批判的に観る(そして、劇的に言い換える)ならば、「極上の7分間を魅せてやるから、お前たちの1クールを寄こせ」となるでしょう。

 筆者は提供します。最高にハードルを上げて。

(Edit&Text/ヒダマル)

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TVアニメ「キャロル&チューズデイ」公式サイト

©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会

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