◆エヴァだけじゃなかった『天元突破グレンラガン』風のクライマックス!

 実はこのエピソードではもう一本、ほかのロボットアニメを思わせる演出が登場していました。

 それが機体の中に侵入してきた真人に対して、幸吉が人型サイズのメカ丸で立ち向かおうとする場面。この場面ではアニメ『天元突破グレンラガン』を意識していると考えられます。

 敵の攻撃を掻い潜りながら立ち向かっていく機体。そして操縦者の顔が筆で描かれたかのようなタッチのアップで迫るシーン。『天元突破グレンラガン』ではまったく同じようなシーンが登場していました。

 つまり、このエピソードからは、『新世紀エヴァンゲリオン』や『天元突破グレンラガン』のオマージュを盛り込み、この2作を制作した制作会社・ガイナックスをリスペクトしてる姿勢が感じられます。

 しかし、実はエンディングのクレジットを見ると、もう一つ大きなサプライズが発覚します。なんと今回のアニメーションの制作には『天元突破グレンラガン』の主要制作陣が設立したアニメーション制作会社、TRIGGERのスタッフが名を連ねていたのです。

 ある意味、二大アニメーション制作会社のコラボエピソード。明らかにいつもとは違ったアクションやテンションの戦いでしたがそれもそのはずで、しっかりと本家本元でロボットアニメを得意とする制作会社にお声がけしていました。そんな制作スタイルの柔軟さが、MAPPAや『呪術廻戦』チームの制作に対する姿勢の面白い部分でもあります。

 一つ残念なのはこれだけ熱い展開を迎えたクライマックスだったのですが、オマージュ元とは違って二人の戦いは苦い結末に終わってしまうのが少し寂しいです。

 これがロボットアニメだったら幸吉が勝利していたかもしれませんが、このアニメはあくまでも『呪術廻戦』です。幸吉の敗北により、夏油の暗躍は呪術高専に知られることなく、今シーズンのサブタイトルにもなっている“渋谷事変”が決行されてしまいました。

 渋谷事変はここからが本番です。今回のようないつもとは違った演出が登場するサプライズだけでなく、『呪術廻戦』らしい禍々しくも派手なアクションに期待です。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:https://jujutsukaisen.jp/episodes/31.php より


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